見出し画像

ウォークスルー2020(2020/11月報)

 どうも。なんか2020年終わりそうですね。状況に振り回されたり外出回数が減ったりで時間感覚を失っている間にこんな時期になってしまったので、例年よりもさらに1年が過ぎるのが早かった気がします。多分人生で一番移動距離の短い年になったんじゃないかと。

 日曜にたまたま気が向いたのでちょっと足を伸ばして散歩をしたんですが、現住所に引っ越してから1年以上経っているのに、意外と徒歩圏に行ったことのないロケーションの多いこと。比喩抜きにホコリを被っていたRX100を久々に起動して写真を撮るなどして大変良い休日になりました。せっかくなので撮った写真も適当に貼っておきます。

画像1

 私はよほど必要がなければ基本家に居たいというインドア人間ながら、いざ出かけたときには適当に目的地周辺を歩き回ったりするのも趣味。
 この手の散歩の面白いところは、自ら歩いているので能動的な行動らしいと思わせておいて、実態的には歩いているだけで強制的に大量のインプットを受けつづける受動的なアクティビティであるところ。

 とりわけ街中の人々とか家、設備や地物は実際に生活の歴史を積み重ねてきた存在なので、どれもすげえ情報量の詰まったある種のコンテンツなんですよね。全ての事物がそこらのフィクションの設定量では到底かなわない濃厚(かつ無駄)な背景設定を持っている。加えてその手の設定はだいたいにおいてその場では開示されず、考察の余地があるというわけで、オタク大歓喜のコンテンツですよ。

画像2

 これは昔から定期的に思うことなんですが、とりわけ昨今の情勢みたいに人間と会ったり話したりする機会が減ってくると、他人というのが何かNPC的な、たまたま遭遇した瞬間にだけ生成されて存在しているものであるかのように思えてくる時がある。
 というか何十億のそれぞれに思考や経歴、関係性など諸々ひっくるめた「人生」が実在している……という現実のスケールがあまりにデカすぎて、それは自分の頭の中では想像しきることが難しいので、一旦NPC的に認識して折り合いを付けておく……みたいな心の働きがあるのかも。

 日常生活を送る中ではそういう理解でも特段実害なく過ごせてしまったりはするんですが、これはあくまで認識の問題で、現実がそうでないことは街を歩いて他人の生活の実在を観測すれば一発でわかる。
 自分が観測できるか・想像が困難であるかという問題とは一切関わりなく、何十億の他人は全員それぞれの人生を常時リアルタイムで生きている……という現実は、定期的に認識し直しておかないと危ない。

 それはめちゃくちゃ当たり前な話で、納得も出来てはいるんですが、しかしそれにしても、何度考えても途方も無い話だなあ……と。プライベート全開の雑談をキッチン内で繰り広げている飯屋スタッフの会話(丸聞こえ)を聞きながら、そんなようなことを思う日曜日でした。あそこには人生があった。

画像3

 昔から定期的にこの「ここから見える範囲の家全部に人住んでて人生やってるってマジ?」みたいな感情に襲われてオワーとなるんですが、最終的には毎回「マジだわ……現実途方もなさすぎ……」という幼児レベルの感嘆に到達して終わります。最初に立てている疑問そのものが幼児時代から何も変わっておらず、その答えも当然不変なので……

 まあ適当に考えたことをつらつら書きましたが、ここ数ヶ月の月報の冒頭雑文と比べると幾分健康的な感じがする文章になったなという感があります。どっちにしてもどうでもいい内心を掘っているばかりで中身もオチも価値もない話ではありますが、興味対象が外に向いてるだけ幾分マシに見えなくもない。
 フィクションからのインプットも楽しいし大事だけど、現実世界・日常生活から摂取するインプットもやっぱ大事だと思いました……って事でどうでしょう。自分で自分に書いてる月報なのでどうもこうもないですが。

ゲーム

 引き続き身内での「Tarkov」ブームが続いているので基本メインはそっちで遊びつつ、シングルプレイのゲームとしては圧倒的に「風花雪月」の月でした。

FE 風花雪月

 これはもうテンションが上って記事まで書いたのでそっちに丸投げでいいですね。

 今は黒鷲ルート進めてるんですが、記事に書いた通りともかく時間がかかってフラストレーションが溜まりやすい部分のあるゲームなので、2周目の消化は遅々として進んでいません。
 まあこの調子で何周かして一通りの支援パターンを確認しきることができれば既読の支援は飛ばせるのでプレイ時間は削減できて、加えて無理に支援上げの組み合わせなどを考えたりする必要もなくなるので相当効率化はできるはずではあるんですが、そうなったら完全に面白さの一部が失われた状態になるわけで。やはり実にジレンマを抱えたゲームだと言えるでしょう。

Command: Modern Operations

 戦争シミュレーション、では間違いなくあるんですが、シミュレーション「ゲーム」であると言えるかは何とも言えない感じの作品です。
 シリーズとしては長らく空戦・海戦のリアルなシミュレートにフォーカスしてきた作品で、今作から陸戦も導入を始めた、とのこと。

 実際この手のゲームとして見ると、そのリアル路線の徹底ぶりに関しては間違いなく異彩を放っているタイトル。残念ながら私自身はこれがどこまでリアルであるかを判別できる知識は持ち合わせていないんですが、少なくとも私には圧倒的にリアルであるように見えるし、ゆるい趣味者としてはその実感さえあればそれで十分。

 ときに世間一般のストラテジーゲームは、基本的にゲームシステムの扱い上「陸戦」が主体となることが多くて、そこをベースとしてゲームバランスが設計されている。
 なので、もちろんそれが悪いというわけではないんですが、空軍・海軍の概念はかなり抽象化されている事が多い。例えば空軍は要請を出したらマップ外からポッと出てきてそのままマップ外に帰るとか、航空機や艦船の搭載兵器の射程が現実より遥かに縮められていたりという形でバランスが取られているんですね。

 しかし、この作品は「シム」なのでそのあたり全くデフォルメがなく、現実にこのミサイルの射程がいくつならゲーム内でもいくつ、みたいな作りになっています。
 この結果、色々動かしていく中で陸戦兵器と航空兵器の決定的な交戦距離感覚の差(陸戦の「遠距離」はジェット機とそのミサイルにとっては本当に一瞬の距離なのだ……)であったり、いざ大規模な空戦を実行すると何が起こるのか(一発何億とかするミサイルが半日のうちに100発単位ですっ飛んでいく……)というあたりを身にしみて体感出来るんですね。これがすげー面白い。

 ゲームとして見た場合は、全体としてとにかく地味極まりない画面(お高いDLCを買わないと兵器の3Dモデルとかは出ず、戦闘の全てはマップ上の地味なアイコンで表現されるだけ!)がまず致命的。加えて異様に複雑なコマンド類やミッション設定(攻撃目標とか使用兵器、高度や速度とルート……だけでなく、交戦規定、燃料切れ時などの行動ルール、その他諸々)、現実の兵器関連のデータを徹底的に落とし込んだ、膨大としか言いようのないデータ量。どこをとっても完全にごく限定された特殊なマニア向けの商品で、一般ゲームファンに薦められる代物では到底ありません。

 ただ、私自身はいわゆるブンドド的な習慣として、架空の戦争、架空の作戦、架空の空戦……というようなものを何度も頭の中で思い描いてきた人種。
 そうした自分の頭の中の妄想を、一本気合の入った考察でリアルに再現したらどういう事が起こるのか……みたいなところを実現できるツールが実在していて、それを作った奴も遊んでいる奴も世間に実在する……というだけで何か一種の感動があり、まあ最高だなという感じ。

 今後もちょこちょこ動かしては一人でニヤニヤ楽しむタイトルになるでしょう。

アニメ

戦闘妖精・雪風(OVA)

 Gyaoで一時無料配信していたので視聴。何というか、よくも悪くも実に「一昔前のOVA!」という感じのする作品ですね。全体的に説明少なく複雑で、暗示的な内面描写が多めで、画面が暗くてところどころグロくて、メカ描写とかには凄いこだわりがあって……。何というか、この時代の「OVA」はこういうものが多そう、という偏見を大いに補強してくれてしまうタイプの作品でした。

 原作は一応既読なんですが何しろ数年前。記憶は全体的にうろ覚えで、見ていて「こんな話だったっけ?」とか「今のどういう意味だ?」という部分が多くあっても、それが記憶違いかOVAオリジナルの要素なのか判別がつかない。
 上に書いたように複雑な展開や演出の多い内容で理解のハードルが高く、まだ原作内容をしっかり記憶できていればそっちの知識で補強できたかもしれませんが……よしんばそれが可能だったとしても、正直単独の作品としてはちょっとどうかなという印象。

 とは言え乾いた空気感の漂う空戦描写は間違いなく秀逸で、特にEP5終盤の空戦は色々すっ飛ばしてアニメ的ケレン味に振り切ったような展開で本当に熱かった。
 作品全体としては原作ファンを中心に否寄りの賛否が聞かれる作品だという印象ですが、OVA版スーパーシルフやメイヴをアニメ戦闘機中屈指の傑作デザインと、EP4の空母関連シーンやEP5の空戦をアニメ空戦表現における名シーンと、それぞれ称える人が未だに絶えないのも頷けるところ。何とも評価し難いですが、印象と記憶には残る作品だったと言えるでしょう。 

ストライクウィッチーズ

ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN

 いわゆるストパンですね。ちょうど「2」の放送時期が私自身深夜アニメを見るようになりはじめた頃だったので、2に関してはリアルタイムで見ていて、以降関連作品は見たり見なかったりぐらいの程々な距離感で接してきたシリーズ。それがついに3期で本編完結と言われたら、まあこの機に1期をちゃんと再履修して3期に望むか……という気持ちになり一気に摂取。

 2→1→3という変則的な流れで見たから尚更そう感じるというところもあるかとは思うんですが、「1」は今見ると意外と全体的にシリアス寄りというか、「ミリタリーテイスト」「ファーストコンタクトSFテイスト」みたいなものを一定以上に取り込んでやろうという雰囲気が強くて好印象。「3」も「2」よりはそっちに寄せようというところがあるのかな? というシリアスな空気があり、個人的にはそういうノリのほうが好みなので実に良い感じ。

 「RtB」の現エピソードまでの感想を言っておくと、描写されるキャラの覚悟や思想、なんと言っても関係性について、これまでの積み重ねや成長の成果を丹念に活かした素晴らしい出来。まさにラストに相応しい作品に仕上がっていると言えるでしょう。
 特に要所要所で展開される過去作の展開のリフレインやオマージュのような場面に関しては、感動すると同時に「本当に501のストーリーは終わろうとしているんだな……」という実感が湧いて、ある種の寂しささえ感じてしまうほど。このまましっかりと素晴らしいフィナーレを迎えて欲しいところですね。

 他方、どうしても気になるのはひたすら狂ったような執着で描写される股間と裸体。このあたりはシリーズ通して徹底的にやり続けていることなので今更不快だ何だというわけではないんですが、ここまで毎話露骨にやってくるアニメは昨今あまり見ない印象。
 まあ自分からそういう種類の作品を見に行っていないだけ、という節はありますが、どちらにせよ高村監督以下制作陣の変わらぬ覚悟というか狂気が存分に滲み出ている部分だと言えるでしょう。

 振り返ってみると「2」をやっていた当時とかはむしろそういう要素を半ばノルマ的に突っ込んだ深夜アニメみたいなのが結構あったイメージで、なんか時代変わったのかなと思うところ。
 まあこれも観測範囲問題で、当時の自分がそういうのばっか狙って見に行っていた可能性もあるし、そうだったら赤っ恥ですが。

 何はともあれ、その手のシーンを見ていると何か揶揄とかではなく純粋に「実に一昔前の深夜アニメっぽいなあ」、「ストライクウィッチーズってなんだかんだ言っても一面的には紛れもなく”こういうアニメ”なんだよなあ」という安心感があり、総じて10年経ってもストパンはストパンなんだという実感が得られて良いですね。逆に今更変に綺麗になられても困惑しそうではある。

アサルトリリィ BOUQUET

 これは個人的にダークホースでしたね。設定……というかもうタイトル自身が正々堂々「俺は百合+戦闘美少女で行くぞ!!!!!!」と高らかに宣言しているわけですが、そのスタンスを取っている時点で敷居もハードルも自ら上げまくっているようなもの。

 舞台は百合ジャンルとしてはクラシックの風格漂う女学院、「お姉さま」に「ごきげんよう」の世界。今あえてこういう舞台設定でやる、という時点で既に何か覚悟が見えますね。
 戦闘美少女要素に関わる世界設定に関しても、人類全体が正体不明の外敵に脅かされる中で対抗できるのは主人公のような能力者少女だけで、案の定大半ヘビーな過去持ち。加えてその力の源は敵と同祖だし、その力の所有権などを巡って国同士・組織同士の綱引きもあって……という塩梅。

 ……まあ私個人としてはめちゃくちゃ好みど真ん中で最高なんですが、パターン的にはすごく耽美的・抽象的・繊細……みたいな方向に傾倒して敷居の高い作品になりそうな要素がこれでもかと揃っており、有り体に言ってすごく不安な組み合わせ。

 他方で本作は立ち位置的に単体で独立したアニメと言うよりは、メディアミックス展開……特にソーシャルゲームへの意識が強そうな……に含まれるものである様子。実際にアニメを見ていても、各エピソードでしっかりキャラを出した上で、それぞれの個性とか見せ場を一定以上アピールしておくことが明らかに制作上のノルマになっているのが露骨に分かる。

 現在完全に飽和気味な戦闘美少女モノ、加えて百合という色々大変なテーマ、ヘビーな設定、他メディア展開を前提に動かさざるを得ない大量のキャラクター。どう考えても要求過多というか詰め込み過ぎで、魅力的であるという以上にすごく危険な気配が漂っている。

 私自身このあたりを鑑みてこれは危ないだろ……と思っていたんですが、いざ覚悟を決めて見てみたら嬉しいことにほぼ杞憂で、絶妙なバランス感覚でこの構成要素をなんとかまとめてみせている良作でした。

 なんと言っても凄いのが、この設定で作っていながらアニメ全体として(とりあえず終盤までは)基本的に明るめ・カジュアルなテンションで進行する作品に仕上がっているところ。もちろん要所要所ではしっかり引き締めて舞台設定のヘビーさ・繊細さを出してきますが、普通にやったら終始激重トーンになりそうなこの構成要素からこういうバランスのお話に持って行けているのがまず凄い。

 話の構成的には大量のキャラ描写をやる都合もあってか、いわゆる縦軸横軸の話で言えば横軸重視な感じ。きっかり3話ワンセットで起承転結を繰り返し、「キャラ見せパート」「仲間集めパート」「関係深化パート」的な部分がハッキリしているタイプの構成になっています。

 とはいえ縦軸に当たるメインキャラ二人の掘り下げと関係深化、世界観設定の深堀り、登場人物がストーリー開始時点で失っていた人間性の再獲得……みたいな要素も合間合間にしっかり進めていて、終盤でそこを表面化させて本筋に引き戻す、というような展開の取り回しもしっかり決まっている。
 ここはまだ放送が最終話まで行っていないので評価が確定できない部分ではありますが、現状でもこれだけ詰め込んだ話を分解せずに制御しているのは素直に凄いと思えます。

 アニメとしての作画とか演出も存分に満足できる質のもので、いい意味でシャフトらしい感じ。キャラの動作は全体的に程よくコミカルに崩してデフォルメも入れていくようなスタンスでとても可愛いし、戦闘作画も一部の回では明らかに枚数の多いパートがあったりと一定以上に気合の入ったもの。
 そうかと思えば要所要所で意味ありげに花が映り込んだり(多分花言葉とかで展開やキャラの心情を暗示している)、道具や部屋などにフォーカスしてキャラ本人を映さず感情を表現したりと、実に作品テーマに即した奥ゆかしい演出を決めてくれる。やはり絶妙なバランスだと思います。

 ……とまあガッツリ褒めてきましたが、どうしても盛り込み過ぎの弊害を実感してしまう部分はあり、全体的な展開やキャラ間の関係深化が早すぎるように感じてしまうのは否めないところ。
 加えてそもそもライトなトーンになっているとは言え構成要素がかなり人を選ぶセットであることも確かなので、そういう意味でも手放しに他人にガンガン薦められるというタイプの作品ではない。

 ですが、上に書いたような構成要素を見て「これは危ねえタイプのやつだな……お前みたいな作品に何回も期待してはやられてきたぞ……」という感じに警戒してしまうタイプの人ほど一回見てみて欲しい、というところのある作品です。ラストをどういう方向に落とすのか本当に楽しみ。

まとめ

 結構新しいアニメ見たりゲームしたりを出来ていた期間だった感じですね。特に風花雪月はいい出会いでした。

 ただ、プライベート的には完全にヤバい業務が年末進行に突入しており、在宅勤務を良いことに(?)アホほど残業時間が伸びまくる状況に突入しておりまして、他方で社会情勢の方も12月入ってから一気に大変なことになりつつある状況です。
 今年ここまでの停滞気味というか変化不足気味な生活から急激に変化しつつありますが、ここまで両極端に振れられるのは本当に困る。何事も程よい平穏、程よい忙しさのバランスでやっていきたいとは思いますが、そういうふうに物事を自由に制御できるほど人類は進歩していないのだなあ、と痛感させられた年であったという感もある。
 まあ何にせよ、とりあえず年末進行を乗り切りたいと思います。今月はこんなところで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?