潮田国土漂流記 一 潮田風爾郎【シオタフウジロウ】ト云ウ男。

潮田風爾郎、我が故郷を背負いしままに後にす。足早に道を進むも、人跡まばゆき山々、野々の彼方には旅の遠き険しき路程あり。然るに、四里の歩みの果てに、道端に疲れ果てて置かれた馬を偶然見つけしや。潮田、其の馬を憐み、草を摘みて餌を与え、その身に心を寄せたり。そして、座りしままに、馬に鞍を置き、我が旅の伴とし給う。

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