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嚙み合っていないけれど、面白い対談本。ベスト1位

 私は、高野秀行さんの本が好きで、出版された本は、コンプリートしようとがんばってはいるのだけれど、この本は、取りこぼしていた。


 高野さん、角幡さんの少ない共通点はあるものの、ずっと話が噛み合っていない気がする。
 よくある宣伝の記事などは、著者を立て、
「なるほど、そのようなお考えなのですね。」
とか、いったんすべて受け入れて、
「例えば、この時は、どう対応したのですか?」
とか話を膨らませて、話が進んでいくのだと思うけど、
高野さんが、「こんな風に思ったんだよね。」
と、言ったら、角幡さんが「それは、変だ」
みたいなことを言い出す。面白いですよね~。読者がずっこける対談本。

詳細は、本文p17。を読んでください。

次に、

高野 そうだね。だって岩登りに行っても、みんなクライミングシューズを履かないんだよ。
角幡 僕らの時も沢登り用の足袋でクライミングしている連中がいました。登れるとか登れないとかは関係ない。とにかく、みんながやっていることと違うことをやらなくちゃダメだというのが探検部の基本理念ですからね。

地図の無い場所で眠りたいp33

 えっ~?と、ここを読んでびっくり。
早稲田探検部は、クライミングシューズを岩ではかない理由が、みんなと違うことをしなくてはいけない文化の発露とされているらしい。

 私の所属していた山の会では、岩登りのさい、新人はスニーカーでも良い。と言われる。
なぜなら、
理由1、岩登りは、岩登り自身が目的ではなく、今後いく、沢登りのための練習であるので。
と、言われて育った。
 先輩で、クライミングシューズを履いている人は、2人ぐらい。
魔法の靴といっていた。
 実際沢登りをすると、沢の入り口までは、スニーカーか登山靴、沢に入ったら沢用の地下足袋か沢用フエルトシューズ。これで、岩があるからクライミングシューズを持って行って、沢から岩、沢から岩に変わるたびにクライミングシューズに履き替えるなど、非効率で合理性がないし、単純に荷物になる。そして、私は特に先輩たちがずるいとか、思ったことはないです。

 私が、推測するに技術や文化のすっこ抜け現象がおきたのではないかと、思ったりします。

 着物の文化でもあることで、着物の柄で、花柄は季節に合ってなくてはいけない。という着物カレンダーというものが、着物着付け業界などにありまして、それが今の着物を着る初心者たちを、苦しめているわけです。

でも、これは、日本の古代の草花の霊力を自分にもつけるため、簪にしたという文化から、流れているものだと思うのです。植物に癒される、元気をもらうみたいな。だけれど、そこが、すっこ抜けてしまい、
「浴衣に5月に咲く藤の絵が付いている。どうしよう、、。」
などと、しきたりだからと、びくびくしながら浴衣を着る羽目になるわけです。

 どこの世界でも、本来の意味が、すっこ抜けると、おかしな伝わり方になって、初心者が余計な苦労をしますね。

新人がクライミングシューズを履かない理由2。
 私の場合ですが、貧乏学生だったのでお金がない。登山靴、ザック、寝袋、山スキー、季節に応じたウェアなど、それなりに装備にお金がかかるので、魔法の靴にお金をかける余裕がない。優先順位が低い。

(私は、どこに所属しようと、先輩がどこに誘っても岩しかしない。)と心に決めているなら、クライミングシューズがあってもいいと思います。

 この本を読んで、良かったことは、探検部の活動が広域で、私のやりたいことではなかった。ということがわかって、良かったことです。

 私は、本当は、カヌーに乗りたかったのだけれど、私の大学の学部では、ワンゲル部はなく、山岳部しかなかったのです。登るのと下るのでは、大違いで、予想を超える世界に入ってしまったと思ったものでした。でも、どっちもアウトドアだから、いいか~。と簡単に考えて入部しました。

 これで、本当にワンゲルに入ったとしても、洞窟は、行きたくなかったな~。と。ましてや、デートで洞窟なんて、暗いし、湿度は高いし、狭いし、、。怖い。たぶん。(洞窟デートした女性達がが閉所恐怖症になっていないことを祈ります。)

 それなら、冬山縦走のホワイトアウトのデートのほうがよっぽどいいな。としみじみ思います。ホワイトアウトなんて、一瞬だし。
それ以外は、雪原に自分たちしかいなくて、野鹿になったような開放感があって楽しかった。

「○○しないとダメ。」と先輩に押し付けられていたら、すたこらサッサと逃げ出していたな~。と思います。
その点、(男女問わず)蝶よ花よと激甘に育てられて、ラッキーでした。(前年、人数が少なすぎて廃部の危機だった。)

 高野さんと山の先輩たちの共通点は、純粋さみたいなものがあって、少年の心を持っているな~。と感じることがあります。

「いいか、青野さん。あそこの沢は、浅瀬をチャパチャパって歩いて抜けたら、カールにはお花畑が広がってて、きれいなんだぞ~。」
と、先輩(おじさん)が少年のように目をキラキラさせて言うものだから、つい信じてついっていったら最後、とんでもない崖ルートを味わうことになったりするけど、また山に行ってしまう。

 最近、この年齢で和裁をしていて思うことは、山も和裁も自分がやりたくてやっていて、親や先輩にに押し付けられることなく、自分で選んで良かったと思えることが、一番大事だな~とつくずく思う。

              

 


 


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