論語18

子路従いて後る。丈人の杖を以て蓧を荷うに遇う。子路問いて曰く、子、夫子を見たるか。丈人曰く、四体勤めず、五穀分たず、孰をか夫子と為すと。其の杖を植てて芸る。子路拱して立つ。子路を止めて宿せしめ、雞を殺し黍を為りて之を食わしめ、其の二子を見えしむ。明日子路行きて以て告ぐ。子曰く、隠者なりと。子路をして反りて之を見せしむ。至れば則ち行れり。子路曰く、仕えざれば義無し。長幼の節は廃すべからざるなり。君臣の義は、之を如何ぞ其れ之を廃せん。其の身を絜くせんと欲して大倫を乱る。君子の仕うるや、其の義を行うなり。道の行われざるは、已に之を知れり。

子路が孔子に遅れていると、老人に会う。先生を見なかったかい?と子路が問うと、何もできなさそうなのに、お前の先生というのは一体誰だね?と老人。老人は杖を地面に立てて草をもてあそんだ。子路がその傍らに立っていると、老人は子路を家に連れて行き宿を貸したり、ニワトリをごちそうに出してくれたりした。2人の子どもにも会わせた。次の日、孔子にそれを告げると、隠者だろうと孔子は言う。ふたたび子路に会いに行かせると、もうそこに隠者はいない。そこで子路は、年功や君臣の義にのっとった国政が必要だと嘆く。隠者の暮らしぶりから、孔子や自分のモットーを振り返らされたのだろう。隠者のような潔さだけでは、大きな倫理が乱れてしまう。しかしそうした道が行われていないというのは、すでに知っていたことだ。子路はそう呟いた。

追記。孔子や自分のモットーを振り返らされた、と書いたけど、最後のモノローグは、孔子ではなくあくまで子路の意見だと言えるか?

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