論語6

子、仲弓を謂いて曰く、犂牛の子も、騂くして且つ角あらば、用うること勿からんと欲すと雖も、山川其れ諸を舎てんや。

孔子が仲弓を評している。粗野に見え、だれも登用しないかもしれないが、山や川(つまり未開地か?)は彼の家となる、か。


子曰く、回や、其の心三月仁に違わず。其の余は則ち日に月に至るのみ。

顔回は心が3カ月仁を離れなかった。それ以外の人は、1日だったり1カ月だったりするだけだ。


子曰く、祝鮀の佞有らずして、宋朝の美有るは、難いかな今の世に免かれんこと。

祝鮀の口達者がなく、宋朝の美しさがあるような人は、いない。今の世はそんな感じだ、くらいの意味か。


子曰く、質、文に勝てば則ち野なり。文、質に勝てば則ち史なり。文質彬彬として、然る後に君子なり。

素質が言葉にまされば、それは野にいるような感じだ。言葉が素質にまされば、それは言葉だけのような感じだ。君子にはどちらも重要だ。史を言葉だけのような感じ、と訳した。

前に出た仲弓は、素質の人か。


子曰く、人の生くるや直し。之を罔みして生くるや、幸いにして免るるのみ。

人の生というのはまっすぐなものだ。それをおさえつけられて生きるようなことを、幸いにして免れている。


子曰く、之を知る者は之を好む者に如かず。之を好む者は之を楽しむ者に如かず。

なにかをするとして、それをただ知ってるだけの人は、それを好きな人にはおよばない。それをただ好きなだけの人は、それを楽しむ人にはおよばない。


子曰く、中人以上は、以て上を語るべきなり。中人以下は、以て上を語るべからざるなり。

公職とかにある人は、政治に関することなど、つまり上を語る義務がある、くらいの感じか。そうでない人が政治を語るようなコミュニティはよくない、ということかな。普通の人は自分の仕事とか家族とか友人のことくらいしかあまり考えきれないが、いまは選挙があるから、少し違うのかも。


子曰く、觚、觚ならず。觚ならんや、觚ならんや。

ここは多分、觚(こ)というさかずきが、觚ではない、つまり四角ではないのを嘆いているのか。言葉の正確さや礼が失わている、といった感じに。


宰我、問いて曰く、仁者は之に告げて井に仁有りと曰うと雖も、其れ之に従わん。子曰く、何為れぞ其れ然らんや。君子は逝かしむべきなり。陥るべからざるなり。欺くべきなり。罔うべからざるなり。

仁者は井戸の中に仁があると言ったらそこに飛び込みますか?という問い。仁者はだまされるんだろうけど、その志は変えることができない、くらいの意味。


子曰く、君子は博く文を学び、之を約するに礼を以てせば、亦た以て畔かざるべきか。

たくさん本を読んで、そのたくさん学んだことをまとめ、礼であらわせば、他と対立するような感じにならない。


子貢曰く、如し博く民に施して、能く衆を済うもの有らば、何如。仁と謂うべきか。子曰く、何ぞ仁を事とせん。必ずや聖か。堯舜も其れ猶お諸を病めり。夫れ仁者は己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達す。能く近く譬えを取る。仁の方と謂うべきのみ。

仁者は自分を立派にしようと望んで、他の人も立派にする。そういう態度が、能く近く譬(たと)えを取る、か。自分の似姿を身近な人に見る、そういう人と切磋琢磨する、という意味か。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?