BTGシェルターの設営方法
ご注文のシェルターを発送する前に新しいシェルターの設計を始めてしまったじろうon the trailです。
理論を理解すると新しいアイディアが生まれやすいんですね(他人事)。
とはいえ現ラインナップも着々と製作しております。
まぁ当たり前ですがまったく売れてません笑
今のところ数名の方にオーダーいただいただいてますが、自分でもびっくりしています。
オーダーする人いるんだぁ…って笑
いやー、ありがたいことです。
ホントに。
というわけで、今回はMOTHとDAMSELFLYの設営方法をまとめていこうと思います。
※2023/5/1 MOTH/HBについて追記しました。
MOTH設営方法
自分でもいろいろと試した結果、以下の手順が1番速く綺麗に張れますのでご参考に。
①ドアフロントをステークダウン
まずはドアフロントからステークダウンします。
この時にシームの角度にだいたい合わせた延長線上に留めると良いでしょう。
なぜドア側からかというと、ドアのダブルジッパーを開けるとあとからでもトレッキングポールが立てやすいからです。
②リアにポールを立てる
まだステークダウンしていないフリーな状態のリアにポールを挿入して、ステークダウンしていきます。
今回はポール120㎝で立てます。
115〜120㎝程度が良いでしょう。
地形によって伸ばしたり縮めたりして調整してください。
凸凹な地面の場合は前後で長さを変えて対応することもできます。
ポールを挿入したら、はじめにステークダウンしたところとのバランスを見て立てる位置を決めます。
バランスの良い三角形になるようにしましょう。
次の画像はダメな例です。
画像では向かって右側がゆるんでいます。
この状態では後でステーク位置を動かさないと直せませんから注意してください。
バランスを見てステークダウンすると、次の画像のように自立します。
③フロントにポールを挿入する
今回は平坦なキャンプ場での設営でしたから、ポールは同じ長さにしてあります。
ドアのダブルジッパーで上側を開けて、ポールを挿入します。
この時、サイドにピークから対角のタイアウトへのシワができないようにポール位置に気をつけてください。
ポールを立てる位置が縦の中心からお互いにズレていると、ピークが捩れてこのようなシワができます。
張り込んでしまうとポールが固く動かなくなりますから、気になる人はここで修正しましょう。
④ピッチトラスを接続する
ピッチトラスはラインロックフックで取り外しできるようになっています。
この段階で軽くコードを引いて、リッジラインに張力をかけます。
写真を撮り忘れたんですが、ピッチトラスのコードを締める時はポールの頭を手前に引きながらコードを締めると幕体に無理がかかりにくいです。
サイドパネルに対角のシワが寄る場合は前後のピッチトラスの締め具合で調整しましょう。
ピッチトラスを接続すると、ステークを一本ずつ抜いても自立するようになりますので、この段階でステーク位置の微調整もできるようになります。
最小限の占有範囲でツェルト的に使うなら、この段階で完成です。
ここでの注意点は、
サイドタイアウトを引く前に必ずピッチトラス、もしくはエクストラでリッジラインに張力を掛けること
です。
先に焦ってサイドタイアウトを引いてしまうとリッジラインに張力が掛からなくなりますのでご注意ください。
⑤サイドタイアウトを引く
いい感じでツェルト状態になったらサイドタイアウトを引きます。
特に天候に不安がなければこれで完成です。
サイドタイアウトはあまり開きすぎないようにしましょう。
この時にフロントとリアのリッジラインがゆるんでいることがあります。
これはポールの長さが足りないのが原因ですから、中からポールの長さを調整してあげます。
地面がゆるいとポールが食い込んでいくことがありますから、木片や石を噛ませたりポールを長めにしたりして対応してください。
最後にフロントドアについたショックコードをステークダウンして完成です。
⑥エクストラを張る
エクストラガイラインは全てラインロックフックで取り外しできるようになっています。
サイドは、取り付けられたショックコードループに引っ掛けて使います。
サイドガイラインは二股になっていますから、ステークは片側につき一本で機能します。
メインリッジラインは、ピークにDリングが取り付けてありますので、そこにフックをクリップします。
パチンとハマる大きさになっています。
サイドのプルアウトは風の強い時だけでなく、内部を広くしたい時にも使います。
あまり引っ張りすぎないようにしてください。
強いショックコードを使用していますので、あまりギチギチに引かなくてもテンションがかかります。
その他
MOTHに限った話ではないですが、ラインを引く時はタイアウトの根本も一緒に引っ張ってあげると幕体と縫い目に優しいですかね。
MOTHのドアの開け閉めは、フロントドアをショックコードでステークダウンしているので楽だと思います。
ドア開閉の手順は以下の通り。
ショックコードはつけたままであれば、フロントパネルが簡易の風除けになります。
ショックコードを外すとサイドとフロントを両方開くことができます。
閉じる時は、①ショックコードをクリップ→②サイドリリースをクリップしてラインを締める→③ジッパーを閉めるといった感じです。
〜以下追記/2023.5.1〜
おかげさまでMOTHのセカンドバッチも完売となりました。
今回から通常バージョンを廃止してMOTH/HBに統合しましたが、工法をフルボンディングに変更したことに伴ってパターンも変更し、トレッキングポールを倒立で設営するようにしました。
こうすることで、多少柔らかい地盤で幕営する際にもポールが地面に食い込みにくくなります。
設営後にポールの長さをいじくることが少なくなると思います。
見た目もスッキリしました。
ピッチトラスのラインがポールを掴むようになっているので、ポールの安定性も増していると感じます。
その他の設営方法は上記の通りで変更はありません。
ところで、倒立なのでポールには当然キャップをして設営するわけですが、あまり細いキャップだと収まりの良さが多少落ちます(もちろんほとんどのタイプのキャップに対応します)。
そこで、このようなキャップを持ち歩くことをオススメしたいと思います。
これはミズノのノルディックウォーキング用のゴムキャップで各種の通販サイトで買えます。
ほとんど全てのトレッキングポールに嵌ります。
先が丸いのでポールポケットへの収まりがよく、ズレることもありません。
接する面積が広いので幕体への影響も最も少ないと思います。
MOTHだけでなく、DRAGON FLYでも上手く機能します。
ボクはトレイルではキャップを外してポールを使うんですけど、町に降りた時に先端保護用としてキャップは持ち歩いていますから、純正のものからこれに替えるだけです。
1000円弱で買えますので、MOTH使いの方は試してみてはいかがでしょうか…。
また、メインリッジラインの追加ガイポイントのDリングに接続するエクストラガイラインをテンションロックフックを使った調整機構から、シンプルなクラムクリート製のラインロックの形式にしました。
接続は画像(DRAGON FLYのリア)のように取り付けます。
クラムクリートのラインロックはシンプルなので破損の可能性が少なく、より強い張力をかけられます。
今回、簡便さよりも悪天候時に信頼性の高いものに変更しました。
これは従来のMOTHにも取り付け可能な変更ですから、気になる方は試してみてください。
DAMSELFLY
DAMSELFLYは六角形の平面形式ですが、4本のステークで設営できます。
フリーな部分が多いのでMOTHに比べて少し慣れが必要かもしれません。
①リアの2点をステークダウン
まずはリアからステークダウンしていきます。
この時にあまり張りすぎないようにしましょう。
ラインはやはりリッジラインの延長線上になるようにします。
後でステーク位置を調整する必要がありますから、ここでは軽めにステークを打っておく程度で大丈夫です。
②Aフレームに組んだポールを挿入
ポールをAフレームに組みます。
今回はBDのアルパインカーボンコルクなので、カーボンエクステンダーを使います。
エクステンダーは、バスケットストップのところまで押し込んでください。
ネジが使えなくなることは今のところありません。
ピタリとハマります。
エクステンダーを使う場合、ポールは125㎝〜の長さにしておきます。
130㎝くらいまで対応します。
微調整したい場合は、例えば1段目を125の目盛、2段目を130の目盛にしたりするとちょうど良い所が見つかると思います。
③フロント2点をステークダウン
次にフロント2点をステークダウンします。
この時に幕体に歪みが出やすいです。
これは中心線に対してボトムの形が歪んでいるために起こります。
画像で言うと、フロント側が突っ張り過ぎでリア側がゆる過ぎなので、フロント側とリア側のステーク両方を少し後ろに移動します。
全体のバランスが良くなるまでステーク位置の調整を繰り返します。
初めは難しく感じるかもしれませんが、練習すれば3分程度で綺麗に張ることができます。
③ボトムテンショナーとポールを接続
最後にボトムテンショナーを接続します。
ハンドルヘッドにハマるようにループになっています。
ラダーロックを締めれば、ポールとキャノピーが一体となり、ポールが所定の範囲内で固定されます。
またMLDやローカスのAフレームと違って、BTGでは足元の距離を固定するラインは省いています。
これは状況によって幕体の幅を広げたり縮めたりといったことに素早く対応するためです。
幅を広げればピークの高さが下がり、各リッジラインは少し緩みます。
気になる場合はタイアウトを締め直してください。
内部空間は広くなりますが、高さが下がるので頭や足がキャノピーに近くなりますので注意が必要です。
そして、逆に幅を縮めればピークの高さが上がり、各リッジラインには張りが出ます。
この場合はラインの締め直しは必要ありません。
頭や足がキャノピーから遠くなりますから、結露が気になる時には良いかもしれません。
その代わりに内部空間は狭くなります。
地形や天候、好みによって使い分けてみてください。
広げたり縮めたりしても、幕体が倒れてしまうことはありませんのでご安心を。
上記の真横からの画像がデフォルトのシルエットになります。
これで完成です。
その他
DAMSELFLYはエクストラガイポイントがキャノピーに8箇所、ボトムライン上に6箇所あります。
全てショックコードが取り付けられています。
ボトムライン上のものはそのままステークダウンすると幕体に張りを与えて耐風性が向上します。
フロントのボトムライン上をステークダウンすると、ドアを半分だけ開いておけるようになります。
ポールとの接続を解除すれば両方開くこともできます。
この機能のために、ドアタイバックのショックコードは長めになっています。
キャノピーのガイポイントにも全てショックコードが取り付けられていて、ラインロックフックで取り外しできるようになっています。
フロントとリアでエクストラガイラインを引く場合は、内部でポールとパネルを接続して使います。
サイドを引く場合は耐風性の向上の他に、キャノピーを頭や足から離す効果もありますから結露の軽減も期待できます。
終わりに
いかがだったでしょうか。
どちらも少し練習が必要ですが、きっちり張り込めば良い〝家〟になると思います。
ラインは全て取り付けた状態で発送しますが、取り替えは簡単にできるようになっていますのでお好みによってご自身で取り替えることもできます。
特にショックコードは重いですから、グラムカウンターの人は使わない部分のコードを取り外したりもできます。
ぜひご参考にしてみてください。
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