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初恋という狂気の日々 第二十八章〜

第二十八章 己の愚かさ


春休みが終わり、いよいよ義務教育最終学年である中学3年生となった 
下駄箱にクラス一覧が貼り出され、生徒各々が自分のクラスを探す
私はすぐに自分が何組か見つけ出し、すかさず絢辻さんが何組であるかを確認した 

結果として 絢辻さんとは、残念ながらまた別のクラスであった

私は落胆しつつも、他に誰がいるのかと名簿表を確認した 
まず始めに 男子は昔から喋る人が多く 楽しめると直感でわかった 次に女子に誰がいるのかと確認をする

そうすると私は驚いた
何と私が中1の頃から批判的に見ている “生徒会長 温厚さん”が同じクラスではないか

私はこの瞬間 心の中で叫ぶ ❨なんで偉大なる絢辻詞様じゃなくてアンチしてる温厚さんなんだよ! そこは絢辻詞様と同じクラスにしてくれよ!❩

そこに時刻表くんが近くに現れた 
私は思わず彼に小声で話しかける 「あぁ…温厚さんと絢辻さん変えて欲しい…あぁ無念…」
時刻表くんが呆れる 「はいはい そういう話は放課後 会ってからしようなw 今日遊ぶでしょ?」

私は軽くうなずくと無念な気持ちを引きずりながらぼーっとしていると、今度は美人さんが喋りかけてきた 
「テツバド(私)と同じじゃん よろしくねーw」
私は一瞬 呆けた後に反応する「え?あ、そうなん?! よろしくな」 
この時 私の気持ちは少し穏やかになり 内心ではこう考えた ❨美人さんいるなら 話せる女子もいるし、綺麗だから癒やされる とりあえず温厚さん本人に私が温厚アンチってバレなきゃ良しとしよう❩

そうして 教室に入ると私はまた驚いた 
何と温厚さんと私は出席番号が近いので、最初の席がものすごく近いではないか

私の中には ❨これじゃ参ったなぁ❩という気持ちと❨話したことないから、とりあえず話してみるか❩という探る気持ちの2つが浮かび上がる

私と温厚さんで軽い挨拶を終え、とりあえず私から話しかけてみる「あ、テツバドと申します よろしくお願いします」
そうすると温厚さんは優しい表情で「よろしくお願いします テツバドさんのことは詞ちゃん(絢辻さん)から聞いてるよw 詞ちゃんと仲良いよねw
私はびっくりしながら返答する「え? あ! 詞(絢辻さん)が俺のこと話してたの?! 何て紹介されてるのかわからないけど、不安だなw」
温厚さんはきょとんとした表情で話す「いやいや 詞ちゃん優しいからそんな酷い紹介はしてないよw 良いヤツって言っていたよ〜」 
私はホッとした表情で本音が出る「あぁ良かった…嬉しい」 

※前に記載したが、絢辻さんと温厚さんは“同じ部活”かつ“同じ生徒会役員”なので関わりが深い

そうして他愛もない話を数分してると、新しい担任の先生が入ってきた その先生は映画鑑賞が趣味だったので これ以降は映画先生と記載する

映画先生「はいでは 皆さんよろしくお願いします
とはいいつつも多分ね 皆さん私のコト誰だよって思っていますよね? 当然ですね、君たちの代で中3から急に担任持ち出したんですもん 知らない人の方が大半です。 まぁ多分こいつよくわかんねえって思っている生徒が大半なんで
とりあえず これからよろしくお願いします」

こんな感じで軽い雰囲気でとても親しみやすい先生というのが第一印象であった  


ではここで一旦 映画先生の紹介に入る

映画先生 
・国語教師 ・30代 男性 ・真面目そうな顔
・絢辻さん 温厚さんの部活顧問
・趣味は映画鑑賞 ・大人しい喋り方
・雑談が面白い・仕事は真面目にする
・生徒に口うるさく注意をするタイプではない
・生徒思いだが、熱血系ではない

  この映画先生はとても素晴らしい先生であったと卒業した今なお痛感している
この先生が担任であったからこそ中学3年生は楽しかったといっても過言ではない


そうして少し時間が経ち、 クラス集合写真の撮影が終わり教室に戻った時だった

私が美人さんと喋っていると、温厚さんが嬉しそうに話しかける 「テツバド 美人ちゃんとも関わりあるんだ〜」 私と美人さんが「まぁ小学校から時たまクラス同じだったもんな〜」と返答をする

※私と美人さんは同じ小学校だが、私と温厚さんは別の小学校   
イメージとしては↓みたいな形
A小学校出身 私 絢辻さん 美人さん
B小学校出身 温厚さん

そうして三人で雑談を少しすると、ホームルームの
時間となり 各々帰宅した

 帰宅中歩いていると 私はハッと気づいた     ❨あれ?温厚さんのことさんざん批判していたし、めちゃくちゃアンチだったのに……今日 初めて会話したら凄く楽しかった❩

そうである 今日の朝なんて“温厚さんなんかより絢辻様が良い〜”と心の中で叫んでいたくらいアンチだったのである  

そしてまた私は考える ❨というか自分自身がアンチであるコトを忘れかけていた… もしかして自分はとても愚かな判断を今までしていたのか? 考えてみれば 今まで自分が叩いていた理由は僻みや難癖じゃないか なんて浅はかなんだろう❩ 

この時 私は反省と同時に決意と再確認をした
❨温厚さんにとても申し訳ないことをしたし、これからはこんな過ちは絶対にしでかさない そして温厚さんは素晴らしい人であることに間違いはない❩

そうして時刻表くんと遊ぶ約束をしていたので、彼の家に向かった 

 家に着くと、お互いクラスの印象について語り合う流れになった
時刻表くん「少し喋れる人が少ないけど、無難かな」
私「いや〜マジでメンバーが良いクラス 最高」
 そこで時刻表くんが突っ込みを入れる
時刻表くん「でも 絢辻さんがいないのはどうなの」
私「そりゃ悲しいわ 同じクラスになりたいに決まってるだろ でもまぁ美人さんとかいるし女子の面子も悪くない」
時刻表くんが何かを言いたげな顔をする
私が続けて話した「そうそれでさぁ〜 温厚さんって素晴らしい人だね」
その瞬間 彼は呆れた「え、は? 君 朝まで温厚さんの印象悪かったな? 意見が急に変わりすぎやしないか?」
私は言葉がつまりつつも返す「いや、うん……アレは私が愚かだった あんなのただの僻みだよ…正直 今までの自分が心の底から恥ずかしい」

時刻表くん「はぁw…まぁ仲良くなれそうなら良いんじゃない?」と呆れながらも納得の表情

こうして数時間 時刻表くんと一緒に遊び 中学3年生進級初日は終わった

この記事の時点での時系列 中学3年生 春 出会って五年以上


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