虚無感に駆られる日々 第九章

第九章 心のつぶやきが溢れる

前章から月日は流れて、体育祭の時期となった。
校庭にはカラフルなテントが並び、生徒たちは競技に向けて準備に忙しそうだった。私は特に積極的に参加することもなく 全員参加の競技にだけ出るやる気のない生徒の一人だった。

 高校では部活に入り、その関係で広報担当をしていため 一般生徒とは違う席位置だった。
 偶然にも、部活の関係で愛嬌さんも広報担当だったので席は隣だった。
※私と愛嬌さんの所属は違う部活

 私は愛嬌さんに話かける
「いくら日陰とはいえ暑いな あの中で応援団やらチアとかやる人達は凄いと思わない? 俺は無理」

 愛嬌さんは明るい雰囲気で「その暑い中 私はチアガール応募したから やるけど(笑) 」と返した

「えぇぇぇっ?! チア出るん?!中学の大人しいイメージ的に出ると思わなかった」と思わず大きな声で反応する

「……うん仲良い友達が一緒にって誘ってくれたからね 私も最初は悩んだけど 高校生になってから色々経験したいって思って決めたんだ」愛嬌さんは少し恥ずかしがりながら話す

「そうかぁ…それならチアちゃんと広報しないとなw 楽しみにしてるよw」と感心しながら頷いた

「えぇwそれはちょっと恥ずかしい でもありがとう〜」彼女は照れ隠しの笑みを浮かべていた。

そうして体育祭の進行は進み、チアガールの出番となった。
私は愛嬌さんがどんな感じか注目してみると、呆気にとられた。

何故なら いつもの落ち着いて優しい雰囲気とは変わり、チアガール衣装で とても華やかで可愛らしい姿であったからだ。

私は彼女の姿に見惚れて思わず「……可愛い……」と呟いていた。

その呟きを聞いていた同じ部活仲間の秘境くんがツッコミを入れてきた「誰が?」


 ここで秘境くんについての人物説明

・私と同じ部活 ・私とクラスは別
・名前の通り秘境が好き・部活でよく話す
・性格は真面目そうで不真面目


私は思わず誤魔化す為に「え、いやチアガールの皆さんだよ」 

秘境くん「えーお前そんな感性あるんだなw 意外だわw てっきり女子とか好きな人とか恋愛とか興味ないタイプかと思っていたよ」

私は❝好きな人❞という言葉を聞いてトラウマのトリガーが引かれ、不自然な笑顔で喋りだす「え?あぁ……うん……無いよアハハハ…うん…」少し声が震えていたかもしれない

秘境くんはその反応に不思議がりつつ詳しく触れようとはしなかった。

そうしてチアガールの演目が終わり、愛嬌さんが席に戻ってきた
彼女は少し息を切らしながらも、輝く笑顔を浮かべ満足感のある表情

「お疲れ様!素晴らしかったし、衣装とても似合っていて素敵だった!」と私は彼女に声をかけた。

愛嬌さんは少し顔を赤らめながら、「ありがとう!やっぱり参加して良かったかなw」と答える

私はもう少し彼女と話をしたいと思っていたが、愛嬌さんの友人が喋りかけたので引き下がることした

そうすると 秘境くんが話しかけてきた
「今の方は誰?」

私は淡々と「同じ中学の友達だよ〜共通の友人がいるから結構話す機会も多くて」と答えた。

秘境くんはさらに意外そうに「へぇ〜お前 女子と話すんだな。同じ部活以外の女子と話してるの凄い違和感だわ」と言った。

私はすかさず突っ込んだ。「なんだよそれwまぁ否定はしないけど」

秘境くんと話しているうちに、次の競技の準備が進み、広報担当としての仕事に戻る時間が来た。
私は手元の資料を確認しながら、体育祭の進行を見守る。その間も、心の片隅には愛嬌さんの華やかな姿が浮かんでいた。普段の彼女とのギャップが大きく、思わず見惚れてしまった自分に少し戸惑いを覚える。

昼休みになり、広報担当者たちも一息つくことができた。テントの陰で休んでいると、愛嬌さんがこちらにやってきた。「お疲れ様〜そっちの担当も結構大変そうだね」と彼女が声をかけてくれた。

私も「お疲れ様〜ウチラの担当はそこまでだよ むしろ君の担当の方が忙しいんじゃ チアと兼任じゃ余計大変だろうし…」

愛嬌さんは「気遣いありがとう 忙しいけどやり甲斐があるかな さっき似合ってるって言ってくれたのも嬉しかったし(笑) あんまそういうの言うタイプだと思わなかったから尚更ねw」

私は真面目に謝る「ごめん…気持ち悪かったかな」
心の中では(たしかに君の言う通り 女子の見た目なんて触れちゃいけないと思っていたのに……何で無意識の内に褒めてんだよ……申し訳ない) 
と焦る気持ちで一杯だった。

愛嬌さんは軽く横に首を振り否定する「ううん 正直な感想だし嬉しいよ あんま あなたと中学時代は喋らなかったけど、高校が同じになってからよく喋るようになって良かったかも

私「そう言ってくれると嬉しいなw ならこれから頻繁に話しかけても良いか?」

愛嬌さんは朗らかな表情で「うん!構わないよ〜」と答えるのだった。

私はその優しい顔を見た時 内心で(あぁ〜こんなに優しい女性となんで早く関わらなかったんだろう……中学の時からもっと積極的に関わっていれば 絢辻さん以外を好きになっていたかもしれないのになぁ……)
と後悔を積もらせるのであった。

この記事の時点での時系列 高校1年 夏〜秋 絶縁してから約5ヶ月〜6ヶ月

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