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07

 見えないと思っていた死神はとなりに在った。

 気づかないように自分がその存在から、目をそらしていただけだった。

 死神は醜い自分を見せつけてくる。

 目を閉じさせないように見開かせる。

 醜い自分を見せる。見せつける。

 忘れていた自分。見ようとしなかった自分。

 過去にあった醜い人間という自分。

 世界が終ってしまえばいいのにと考える。

 自分が憎くて殺したいほどに憎いから消えてしまいたいと思う。

 けど違うような気がする。

 一瞬で矛盾した。自分は破綻して矛盾しているんだと。

 何が正しくて、何をしたいのか。

 かつての良かった頃の自分、少し戻ろうとしていたのに陰りが見える。

 自分が目をそらしていたもの。

 それが また、目の前に現れた。

 目の前に元からいた。見えていなかっただけだった。

 見ていなかっただけだった。

 だから死神は目の前に在る。



 いつでも世界は終わらせられるんだと、言った。




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