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山と福寿草

長野県安曇野市の光城山登山口駐車場に8時過ぎに到着。光城山から烏帽子峰を経て長峰山への縦走がお目当て。登り始めは緩やかだがそれはほんの束の間だった。右手に安曇野の市街地が見えているが、地元の住民だろう、軽装で登ってくる人達に次々と追い越される(笑)。早々にダウンセーターを脱いで衣類調整。稜線の手前辺りに僅かながら凍った雪が残っていたが登山者が多いこともあってか足元はほぼ乾燥していた。稜線に出ると左右に桜並木が連なる。光城山は桜の名所だ。桜の季節は美しいだろうなと思うとともに、ここに到着するまではしんどいだろうなと想像する(笑)。山頂で古峯神社(光城山城跡)にお詣りし、低い雲で見晴らしが悪くなりつつある北アルプスを確認した後、長峰山へ向かう。途中、広い舗装路を下りていくが本来のルートは道路が崩落しており通行止め。右へ迂回して旧別荘地?を左に見ながら進むが別荘の裏庭に福寿草の群生があった。
標高900mでも春が届いている。

さらに先へと進むが道幅が狭くなるばかりか右側は谷へと切れ落ちている。落ちないように注意しながら歩行する。と、路傍にお地蔵さんが待ち構えている。石像には文化十三年と彫られている。今から206年ほど前だがこの地の年表を調べてみると水田開発のための堰が造られたとある。工事の殉職者を慰霊するものだろうか。堰のことなどつゆ知らず、ただ両手を合わせてお参りした。雪が多く残る烏帽子峰は帰りに立ち寄る(結局寄らなかった)ことにしてさらに先へ。昭和50年代まで使われていたという水田跡に下り、積雪でズルズルの登山道を少し登って舗装路を横切れば長峰山への最後の取付き。この辺りから北アルプスを越えて吹き降ろしてくる強風が気になり始める。そして長峰山山頂の展望塔を潜ると暴風である。のんびりとコンビニおにぎりを頬張る余裕もなく、展望塔の下で風を避けながら水分補給し、すぐさま山を下りた。

帰りは同じルートを光城山山頂手前まで戻って遊歩道を下る。登山道よりは確かに傾斜は緩やかだが、人の往来が少ないこともあるのか残雪と泥濘で難儀した。 終始、強風が吹き荒れ、遮る樹林帯もないので小休止することもできず登山口まで一気に下りた。駐車場が右手に見えてホッとしたものの、最後の試練、アイスバーンが待っていた。ペンギン歩きで何とか凌ぎ(転ぶことなく)無事下山。山頂で北アルプスの稜線を眺め、「あれは常念、大天井…」と山座同定を楽しむことは出来なかったが、初春の山歩きを楽しむことが出来た。この日は関東で春一番を観測したようだが、麓の松本市でも強風が吹いていた。

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