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小説『ウミスズメ』【全17話+あとがき】

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それは、名前の無い青年と少女の出会いから始まった。 存在と不在、日常と違和感の狭間で それぞれ行き場を見失った二人の 奇妙な四日間の物語。 「自分は何者なのか」「存在していると…
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#ニーナ・シモン

小説『ウミスズメ』第十五話:オバチャン・図書室の本・ニーナ・シモン

【前話までのおはなし】 学校の図書室で本を見た僕たちは、途中、料理当てゲームをしながら魚カフェへ戻ってきた。  僕たちが魚カフェに戻ると、中年の女性が店番をしていた。あのフグ事件の時に会ったユトの〈オバチャン〉だ。オーナーは、サンドイッチ用の野菜が足りなくなったので、近所に買い出しに行ったとのことだった。  海宝佐智夫がここで何をしていたのか、またもや知る機会を逸してしまった。しかし、そこで僕はふと疑問に思った。ユトは何故、彼の名前を知っていたのだろう。 「あの後、男の