小説『ウミスズメ』第十五話:オバチャン・図書室の本・ニーナ・シモン
【前話までのおはなし】
学校の図書室で本を見た僕たちは、途中、料理当てゲームをしながら魚カフェへ戻ってきた。
僕たちが魚カフェに戻ると、中年の女性が店番をしていた。あのフグ事件の時に会ったユトの〈オバチャン〉だ。オーナーは、サンドイッチ用の野菜が足りなくなったので、近所に買い出しに行ったとのことだった。
海宝佐智夫がここで何をしていたのか、またもや知る機会を逸してしまった。しかし、そこで僕はふと疑問に思った。ユトは何故、彼の名前を知っていたのだろう。
「あの後、男の