小説『ウミスズメ』第四話:少女・深海魚・スニーカー
【前話までのおはなし】
取材先のカフェは青くて魚だらけだった。
そこで僕は髭のオーナーと「ユト」という名の少女に出会う。
僕はふと、いつか見たカラバッジョの絵と、母の言葉を思い出した。
〈この絵はね、マタイがイエスについて行くために椅子から立ち上がる、その直前の情景を描いたって言われてるのよ〉
それはカラバッジョの『マタイの召命』という絵について、母が僕に語った言葉だった。何故、急にそんな事を思い出したのか自分でもよく分からなかった。もしかしたら光の加減があの絵に似てい