小説『ウミスズメ』第三話:青いカフェ・魚・カラバッジョ
【前話までのおはなし】
僕の名前は「海宝悟」。それは本当でもないし、嘘でもない。
夏のある暑い朝、僕はバイトで吉祥寺のカフェを訪れた。
時代がかった建物と怪しげな雰囲気に怯んだものの、いまさら仕事を断る訳にはいかない。僕は観念して店の扉を開いた。
最初はそれが一体何なのか、すぐには分からなかった。
扉を開けると店内は全体的に薄暗く、ほの青い光に満ちていた。戸外から急に室内を見たせいで視覚がおかしくなったのかと思い、思わず目を瞬いてから改めて周囲を見直したが、変わらず薄