見出し画像

《一二三真示》

一年前の一二三、朝8:30頃、私が住んでいた民泊を運営していた一軒家のチャイムが鳴り、遠くから返事すると、「開けてください」という。

身元も名乗らないので何言っているのかわからず、いつもの宗教の勧誘だと思い無視して寝室に戻った瞬間、玄関のガラスを割り、10人以上の麻薬取締捜査官が家になだれ込んできた。

私の身柄はすぐに拘束され、捜査課長の林さんは玄関のガラスを割った時に指を切ったらしく、血がドボドボ、私のももひきと座らされたベットの敷布団に垂れていたため、

私「落ち着いて下さい!血がメチャクチャ出てますよ大丈夫ですか!?」

と言うと、

林「青山さんがどういう人物かわからないし、凶悪な人かもしれないだろ」

私「っていうか、あのガラス高いから、割ると一言言ってくれたら出たのに。もっとコミュニケーション取りましょうよ!強盗だと思ったじゃないですか!ここは借りている家だから大家さんに怒られるじゃないですか。」

こんなやり取りのスタートだった。

実は、私の当時のパートナーと縄文エネルギー研究所の中山さんカップルがうちに泊まっていた。

最初、私はまさか自分にマトリの捜査が及ぶとは考えていなく、中山さんを捕まえに来たのだと勘違いしていた。

しかし、令状を見せられるとバッチリ私の名前が書いてある。

私はすぐに観念して、大麻の干してある屋根裏部屋に案内する。

その景観を麻取の人たちは見て

全「スゴイな!こんなスゴイのは初めて見た!」

捜査官全員が口々にする言葉に、私は褒められているようでちょっと嬉しくなっていた。

林「ここに特別に立てているのは何だ?」

私「それは私が品種改良した今年NO.1の愛娘で、まだほとんど吸っていないのです。最後にこれを一服だけさせてもらっていいですか?吸うのは違法じゃないでしょ?」

林「みんなそう言うんだが、それをいいと言うわけないだろう😏」

笑顔も見られ、終始和やかに事は進んで行く。

屋根裏は寒いので、ストーブを焚きましょうと言うと、林さんは大丈夫だと言うが、他の部下の方々は寒そうにしているし私も寒かったので、林さんがいなくなってからストーブを点けて温めた。
こんな時でも突然のお客様を気遣うAirbnbスーパーホスト気性は抜けないものだ。

それでも寒いので温かいお茶でも出しますと言ったが、さすがにそこまでは拘束のルールがあるようでさせてくれなかった。

みんなそれぞれの仕事を一生懸命キビキビと全うしており、後に私の取り調べ担当官となる榎本さんは、常に私の横にいて気遣い、冗談を言ったり優しい言葉をかけてくれる。

さすがは天下の麻薬取締捜査官だ☆最初から連携の取れたいい仕事をしている。

ワンボックスのワゴン車とセダン2台で来ていたのだが、あまりにも量が多いために途中で2tの箱車をレンタカーで借りてきた。

家の隅々まで調べるのと、3階屋根裏から24kgの大麻を運ぶだけで、8:30から16:00までの8時間、みんな飲まず食わずで、乾燥した葉っぱがボロボロ崩れるのを拾いながら、一生懸命押収作業をやっているのが申し訳無かった。

THCに反応して赤くなる薬液で、所持の一部が大麻草であることが確認された瞬間、私は手錠をされ、外に連れ出される。

そして、皆がようやく終わったと思って、一応、外のガレージを確認したところ、まだ5kgの乾燥大麻があり、 “まだあるのかよ、、、” と全員が肩を落としてがっくりしている姿を見て、

私「皆様本当に申し訳ありません」

と謝った。

ホームセンターでブルーシートを何枚も買ってきて包み込み、ある程度掃除をして、結局、連行されて家を出発したのは日も暮れた18:30頃。

中山さんカップルは途中で仲間が迎えに来て、無事に難を逃れた。

実に10時間にも渡った押収劇に

林「ここまで時間がかかったのは初めてだ。」

と言われ、私はまた褒められているような気がして嬉しかった。

車の中では最初、誰も喋らない。この縦社会は実に統率が取れている。

札幌に着くまでこの空気は、一緒に乗っている他の4人にも悪いので、その中で1番権力があるだろう林さんに少しずつ話しかけたり冗談を言って場を和ませることに全力を使う私。

そしたら、高速道路移動中に密かにすかしっ屁をした時に、柔い実も一緒に出てしまった。

こんな時だが私は意を決して告白!

私「すいません。オナラと一緒に実も出てしまいました。褌を取り替えてもいいですか?」

林「生理現象だからしょうがない。次のパーキングで停まるから。」

停まった占冠パーキングは人が多かった。その中でも隙をみて、手錠をしているのが見えないようにトイレまで連れて行ってくださった。

捜査官にフルチンを公開し、公開用便と褌交換を済ますと、もう痴心知れた仲だ♪

札幌までの2時間半、私は林さんを中心に皆さんに大麻や薬物犯罪の話題を振って、時に冗談が飛び出しながら和やかにドライブをする。

林さんは着いてから

「青山さんのおかげで、楽しくあっという間に札幌へ着いたよ。ありがとう。」

と言われる。

スーパーホストとして最後の仕事が出来たのではと、私も自己満足していた☆

麻薬取締捜査官も人間だ。

割ったガラスは約束通り同じ擦りガラスではなかったが、後で公費で新しいモノを入れて下さった。

そして、とてもチーム連携が取れていて、真面目で仕事熱心な姿には感動すら覚える👍✨

着いて、21:00くらい〜シンデレラタイムが過ぎるまで、最初の取り調べがあり、私の担当捜査官の榎本さんはメンタリストDaiGo並みに心理術に長けていて、優しい言葉にたまに鋭い質問を交えながら、私に色々なことを気持ちよく喋らせてくれる。

しかし、押収されたiPhoneとiPodのロック解除番号を教えることと、中を確認してデータが消えたとしても不服を申し立てはしないという同意書にサインをすること、そして私以外の誰かへ迷惑がかかるような発言だけは、その日からスキをみて毎日聞かれるのだが、それだけは絶対にしなかった。

まだ若い捜査官の清水さんは、

清水「青山さんみたいな大物に会えて光栄です!」

と、私を曇りのないキラキラした眼で見てくるので、ちょっと照れくさかった。

TVなどで怖いイメージの麻薬取締捜査官だったが、全く正反対の心優しく人格者ばかりだった。

それから、19日までは休庁日以外毎日、朝から晩まで捜査官榎本さんと清水さんの3人で、談笑しながらの楽しい取り調べが始まるのだった🎶

To be continue 🔜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?