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バイリンガルの鼻歌

カナダに住み始めて4半世紀。日常英会話は特に問題なく生活できているし、何とか仕事もこなしています。

が、ここで生まれて育った子供達に絶対かなわないなと思うことがあります。

それが鼻歌。

私は結構よく鼻歌を歌います。ドライブ中、リモートでの仕事中、シャワーを浴びている時。大抵いつも歌っています。

昔私がいた頃、日本では今ほど色々なジャンルの音楽はなく、流行りの歌がテレビやラジオで、そして街中でもよく流れていました。

一日に何度も耳にするうちに自然と歌えるようになっていたような。

今はもっぱらYouTube。

リモート業務の時は、対面で同僚と話す必要もないので、YouTubeで音楽を聴きながら働くのが常。適当に選んだ音楽を流しっぱなしにしてます。何回か聞くうちに今日本で流行ってるのかなあと思われる曲も何となく歌えるようになります。

でも、これが、英語の歌には通用しません。全く歌えません。

何かをしながらとかではなく、一生懸命聞いてもダメです。聴けば何を言っているのか、どう言う内容の歌詞なのかはわかるし、メロディだって頭に入るのですが。

歌えと言われればハミングぐらいはできるけど、歌えない。

歌詞を見ながら練習すればできるかもですが、鼻歌ってそんな力を入れて挑むものでもないし、まあそんなもんかなと、特に気にはしていません。

が、子供達、すぐに歌えるんです。何度か聴いてサビを口ずさんでるなあと思った矢先、曲が流れてなくても歌ったりします。

へえ、そんな曲なんだこれ。みたいに彼らが歌ってるのを聴いて再確認みたいなこともあります。

長男も次男もドライブ中私が日本の曲を聴いていると

この曲終わったら変えてもいい?

と必ず聞きます。大抵、ダメーと要望には答えない私ですが、ホッケーの試合の前だけは譲ります。

大好きな勝負曲で気持ちを作っていくみたいなことをしてるのかな?と思うと流石にダメとは言えません。

私が承諾すると早速自分の携帯に入っているお気に入りの曲をかけます。

へ〜、こういうの今流行ってるんだねえ。

そんなこと言ってる私をよそに、窓の外を見ながら小さな声で歌ってます。

息子たちが話す流暢な英語を聞いても何とも思いませんが、英語の歌を自然に口ずさむ彼らはすごく格好いい。なんかすごいなあ、と感心してしまいます。

歌唱力がどうのとか言うことではなくて、考えていないのに口から勝手にこぼれる、あふれるみたいな。それは日本で育った私とは決定的に、圧倒的に違います。

こればっかりはかなわないな。
別に勝負する必要も無いのですが。

では日本の歌はどうでしょう。。。まあ、日本語が話せるとは言っても、所詮彼らの知っている日本語は、週に一回の日本語学校と私との微妙な日常会話のみ。知っている語彙は限られています。

きっと英語の歌がすんなり入ってこない私のように、彼らも日本語の歌はちょっと難しいかもな。きっとそうだろうと思っていたのですが。

先日Youtubeからダウンロードした日本の曲をいつものごとく聴いていると、YOASOBIの「夜に駆ける」がかかります。この曲皆さんも知っての通り、とにかく歌詞が多くてテンポも早い。

Youtubeで何度も耳にしていた私が、曲に合わせてテキトーにハミングしていると、ビックリ助手席の長男、一緒に歌い始めます。それが私が英語の歌でよくやるテキトーにそれっぽく歌うのではなくて、しっかり歌詞があっています。ハミングではなく、ちゃんと歌ってます。

いつに間に。。。

ねえ、日本の歌、聴いたりするの?

と思わず聞くと

いつもお母さんシャワーしながら歌ってるじゃん。

て。それだけで覚えられるものですか?絶対Youtubeで聞いてるでしょ?じゃなきゃおかしいよ。。。

「纏う・まとう」みたいな結構難しい日本語も入っているし、早口で意味なんてわからないと思うし。。

ちなみに次男にも、もしかして、君も日本語の歌歌える?と聴いてみると、

んーー平井堅と秦基博くらいなら、多分。

と。

ああ、日本滞在時おばあちゃんの車で聞いてたからか。

若いから?いやいや、やっぱり彼らの日本語は私の英語よりレベルが高い、と言うより彼らの一部となっていると言うことなのかな?

ある程度の年齢で学習した言語と、生まれた時から耳馴染みの第二外国語とは根本的に何かが違うと言うことなのでしょうか。

いつか彼らがどこかで邦楽や洋楽を何気なく口ずさむ。たまたまそこに居合わせたかわいくて優しい女の子の心を鷲掴みにしちゃう、なんてところを勝手に妄想して、幸せな気持ちを満喫する私です。

poo_ponさんの可愛いイラスト拝借しました。

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