バリケード【2019/05/26】
西麻布の街は朝から緊張感に包まれていた。
あのアメリカの大統領が来ているからか、交差点ごとに警官が7人にバリケードがはられていた。
空には軍事へりが隊列をなして三機通りすぎた。しばらくするど、また三機。
同じ機体だろうか、うるさいとも違う、存在感のある重低音に、軍隊のある国はこのような毎日を過ごしているのだなと思った。
別に僕はなにもやましいことはしてない、……たぶん、してないことになっているが、やはり警官のずらりと構えた前を通るのは気が引ける。さすがに拳銃を腰に下げた警官が7人いるあそこで信号無視はできない。
でも、このような監視の「表」があらわになるとき、同時に監視の「裏」がどこかにあることは忘れてはいけない。彼らの目の届かない領域と、目の届く領域が、はじめて明確に区別される。監視が厳しくなれば、「表」での悪事は減るが、目の届かない場所へ悪人は流れる。
そう考えると、監視の無い街こそ、網羅的な監視体制であると言えるのかもしれない、と考えた。
そんなことはともかく、今日は公務員試験だった。
肩の荷が下りたと思う。明日は学会に行く。なぜこんなに切羽詰まった人生を送っているのか理解できないが、自分で自分に監視されながら頑張って生きるしかない。
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