幽玄世界 田沢湖【2023/03/26】
盛岡で友人に会ったあと、すこし自然に触れたくて田沢湖に行くことにした。
天気は既にして雨。田沢湖も例に漏れることなく雨の予報である。
これは、幽玄世界に足を踏み入れられるチャンスだ。
漱石好きの血が騒いだ。その時にはもう、田沢湖行きの新幹線のチケットをとっていた。道中、場所が場所なら名がついていたであろう、無名の滝たちを数えていた。
雨の水面は何時間見ていても飽きない。同じ水面はない。きっと、この湖面は多様な表情をしていてキラキラしている。はれのひに見せる、一面的な笑顔ではない。
風が吹けば霞が流れる。山々の姿が視界に届くのは刹那的である。それでいい
雨に呑まれて文字通り五里霧中になるのもまたよい。大自然の中の湿度は、瑞々しさにかわる。
そんなときでも、足元には苔がある。苔は優しい。苔はつよい。つよくいきるんだよ。
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