策略

ふと思い至る。
次の出勤日には今の職場を離れてしまう訳だし、「お世話になりました」という名目で想い人に贈り物をするのはどうだろうかと。ついでにメッセージカードに告白とまではいかないが、好意が伝わるような言葉を書き添えればいいのではと。仕事終わりに「渡したい物がある」と言って一分でも時間を作ってもらえれば少しでも一緒に居られる時間が長引くんじゃないかとか、そんな淡い期待もある。

もうこの際、結ばれなくてもいいからせめて「いい人」であったと思ってもらいたい。いつかは忘れられていいから、しばらくは「あんな人もいたな」と覚えてもらえていたい。

やはりプレゼントは残らない物がいいだろうし、幸いにも食の好みは聞いていたから的は絞れている。安過ぎず高過ぎずな塩梅が難しいが、明日会う友達にも相談して知恵を借りたいところ。これだけ考えていても当日に渡せなかったら無意味だ。こればかりは当日の忙しさによるから祈るしかない。

こんなにも誰かを好きになったのは恐らく10年振りとかだろう。
本当の本当は成就してもらいたいこの気持ちが、せめて人生の無駄にはならないことを願っている。

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