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「人道的介入」と合法性

人道的介入は、国連憲章第Ⅶ章の下においてのみ、合法的に行使される。その場合、常任理事国による拒否権という恣意性・選別性は排除できない。また、安保理の機能不全も当然想定される。

武力行使禁止原則は、現代国際法および国連の集団安全保障の根幹であって、自衛権行使および国連憲章第Ⅶ章の場合を除いて、例外は認められない。人道的介入は、いくら厳格な要件を付しても、その恣意性・選別性よりも、その濫用の危険性によって、否定される。

国際社会の「保護する責任」は、合法的なあらゆる手段を尽くして果たされなければならない。先ず紛争の平和的解決を尽くし、それが適切でない場合に、安保理の強制的措置を通じて行使されるというような想定は、最初に指摘した拒否権という安保理の限界もあることから、妥当でないのではないか。

人道的介入は合法的でなければならないというのが私見である。すなわち、国連の安全保障体制に基づくべきであって、それ以外の場合は、他の手段を尽くさなければならない。侵されているのは、圧倒的な人道的必要性であり、国際社会の根本利益である。

国際社会の「保護する責任」は、各国が分有すると考えられるから、手段の合法性を考えることが、国際社会の法的安定性にとって、大切なのである。

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