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国際社会の「保護する責任」

オーロラ船団隊員:「アリョーシャさん、国際社会の保護する責任のレポートです。」

アリョーシャ:「ありがとう。助かるよ。」

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国内避難民担当事務総長代表であるフランシス・デンは、国家主権を再定義し、「責任ある主権」を提唱した。国家は、対外的には他国の主権を尊重する責任を持ち、対内的には国内にいるすべての人の尊厳と基本的権利を尊重する責任があるとされた。さらに、国家が、国内のあらゆる人の尊厳と基本的権利を確保する責任を、果たす意思や能力がないか、国家自身が犯罪や残虐行為の行為者であった場合には、国際社会が有する第二次的責任が行使される。それを、国際社会の「保護する責任」という。

「2005年世界サミット成果文書」によれば、国際社会の責任は、先ずは国連を通じた平和的手続によって行使され、それでも十分でない場合には、安保理の強制的措置によって、果たされることになる、とされている。しかし、私見では、一般原則として、「保護する責任」は、あくまでも国連の平和的解決を中心に、「再建する責任」および「予防する責任」を果たすものでなければならないと考える。また、国際社会が有するそれらの責任は、バラバラに果たされるのではなく、共生の創造と実効性の確保という観点から、「人間の安全保障」のような包括的アプローチによって果たされなければならない。

そして、なにより大切なのは、政策に現場の声を反映させることである。緒方貞子によれば、官僚化しすぎた組織は時代から取り残される。現実の状況と生身の人間に対応してこそ、組織は活性化する。そこで必要なのは、関係各国と国際機関が、現行国際法を遵守した上で、人道支援団体とパートナーシップを組むことである。その際、注意を要するのは、人道支援の中立・公平の原則を尊重することである。それは、国際社会の「保護する責任」を果たしていく上で、必要とされるものである。

<参考文献>芹田健太郎・薬師寺公夫・坂元茂樹『ブリッジブック国際人権法第2版』/東澤靖『国際人権法講義』/東野真『緒方貞子ーー難民支援の現場から』

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