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愛は熱いうちに

2020年はとても大変な年だった。誰もが自らの生活を変えることを強いられてしまったのではないだろうか。

休みがあると旅に出てしまう私にとって、GWにどこにも行けないことは苦痛で、楽しいことなんて一つもないと絶望していた。そんなとき映画やドラマを見ることを家族が勧めてくれた。その一つが「Glee」(2009~2015年)というアメリカのドラマだった。高校のグリークラブ(合唱部だけど、日本の合唱部とは違って踊ったりもする)を中心とした物語で、キャストたちがヒットソングやミュージカルナンバーなどのカバーを披露した。この作品との出会いは、自分の世界の見方を変えてしまうような大きな出来事だった(このことについてはまた改めて書きたい…)。

7月、「Glee」のシーズン2を見ている最中、サンタナを演じたナヤ・リヴェラが水難事故で亡くなった。ナヤの生前、私はネットで「Glee」のキャストたちの現在についての記事を読んでいた。ナヤについてはネガティブなことが書かれており、それをうのみにしてしまった私は、彼女のことを誤解していた…。だからか、彼女が湖で行方不明になったと聞いたとき、あまり重く受け止めていなかった(もちろん見つかってほしいと思っていたし、亡くなったと聞いたときは悲しかった)。しかし、物語が進むにつれて、サンタナの生き方に救われることが何度もあり、じわじわと悲しみが深まっていった。そしてSNSを見ていると、同じようにサンタナとナヤに救われた人は多くいることが分かった。共演者たちの追悼メッセージを見て、なんてこの人はユーモラスで、愛に満ちた素敵な人なんだろうと思った。私が読んだ記事での彼女のイメージが、それらの出来事によって覆された。その時深く後悔した。なんて私は愚かだったんだろう…と。私は彼女自身のことを自分できちんと知ろうとしなかった。そしてナヤからもらったものがたくさんあるのに、その感謝の気持ちを本人に伝える術はもうない。時間が経つにつれて、ナヤがいなくなった悲しみと、もう自分には何もできないという無力感が大きくなった。彼女の写真や映像を見て、涙が止まらなくなった。もう二度とこんなことはないようにしようと思った。

ナヤが亡くなる前後にも、日本の芸能人の方の訃報をいくつか聞いた。あまりにも突然のことで驚いたし、とても悲しくなった。

それから、人生について深く考えることが増えた。自分の周りの人たちだって、もちろん自分だってそれは同じで、いついなくなるかわからない。そのことに気づいて本当に怖くなった。その時にtwitterで何度か見た、毛髪さんの「愛は熱いうちに伝えろ」という言葉が頭をよぎった。



自分には身近な人がいなくなるという経験は今まであまりない。でももしかしたらそういうことが起こって、悲しみに打ち砕かれる日が来るかもしれない(もちろんあってほしくないことだが…)。周りの人たちへの感謝の気持ちや、好きだと思ったことを伝えておきたい、そして後悔のないように生きていきたいと心から思った。

それから私は身近な人たちや、SNSで出会った人たちに対して感じたことで、いいことはなるべく伝えることにした。できればどこがよかったのか、どこが好きかを伝えるようにした。今まではあまりしてこなかったことだが、喜んでもらえた。その様子を見て自分も嬉しかった。これからも積極的に伝えていきたい。でも、もちろん自分が言ったことが、本人にとって負担にならないように気をつけたい。身近な人だけでなく、今推している推したちにもなるべく愛を伝えたいと思っている。今は直接伝えることが難しいかもしれないが…。

この先何が起こるか分からないし、もう後悔したくない。愛してくれる人、愛している人たちに、愛を熱いうちに伝えたい。

※加筆訂正あり

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