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故郷をつくる

春から宮城県川崎町で暮らしている。

地方移住しようと東京から宮城へ引っ越し、仙台でひと呼吸置いてからこの町に家を建てた。

夫と、去年の暮れに生まれた娘と3人暮らし。

引っ越したころは水が張られてリフレクションが綺麗だった田んぼも、今では黄金色にきらめいて収穫が進んでいる。

この半年間、田んぼを見ては季節の移ろいを楽しんだ。

川崎町(かわさきまち)。

川崎と聞けば神奈川を連想する人がほとんどだろうし、そうじゃなくても正直どことなく“ありふれた町”感がある。

しかも、観光地の秋保あきう蔵王ざおうに挟まれてなおさら影が薄いような……(秋保・蔵王にふらっと行けるのはいい)。

そんな川崎町だけど(?)知れば知るほどよさに気づくし、長く住むなら結局こういう場所がいいよね、と思える町でもある。

川崎町は宮城県南西部、蔵王連峰の麓にあり、約8割を森林が占めている。

ダムへとつながる釜房かまふさ湖も名所のひとつ。

森と湖。ここだけ切り取るとまるでフィンランドみたい、なんて。

仙台市と山形市の中間に位置し、どちらの中心部へも車で30〜40分ほど。

自然に囲まれて暮らしながら、気軽に都市部へも行けるのがいいところ。農業が盛んな一方で仙台への通勤・通学者も多いそう。

東北最大の都市のとなり町というのは、なかなかつよいと思う。

そこまで不便じゃないことや閉塞感がないことが、地方移住・田舎暮らしのハードルを下げてくれた気がする。

実際、私たち家族のような移住者は多く、宮城のローカル番組で川崎町が特集される際には「移住者に人気の町」と紹介されることもあった。

人口はおよそ8000人。

町には東北唯一の国営公園 みちのく杜の湖畔公園があり、アラバキロックフェスの開催地にもなっている。

毎年4月末になると人口約8000人の町に2日間で約5万人の音楽ファンが集うのだそう。

自分の住む町がフェスの開催地ってかなり熱い。しかも好きなミュージシャンばかり!

今年は引っ越し直後だったのと子どもが小さいこともあり参加をあきらめたけれど、フェス当日に家の窓を開けたら音が風に乗ってやってきて鳥肌が立った。

来年はきっと参加するぞ。


フェスの開催地というだけでもわりとレアな町と言えるし、青根温泉や峩々がが温泉といった温泉地があるのも魅力。

訪れた人に自信を持っておすすめできるレストランやカフェ、コーヒースタンド、焼き菓子店、ワイナリーだってある。

おどろいたのが、どのお店でもごく自然に地産地消が行われていること。

地元の農家さんから仕入れる新鮮な野菜や果物、シェフ自ら育てる豚、庭や山で積んだばかりのハーブに木の実、湧水で淹れるコーヒー……。

美味しいのはもちろんのこと、気負わずとも循環の輪に入れる。それが結構うれしいことに気がついた。

こうやって思うままに書き出してみると、ありふれた町と呼ぶには、ちょっと魅力が多すぎる?

そんな川崎町が娘にとっては故郷になり、一から建てた住処が実家になるわけで。

娘には自然のなかで好奇心を育んでほしいし、ゆくゆく町を出たとしても時々帰りたくなる場所であってほしい。そうなるように、できることをしたいな。

暮らしや子育て、家づくりのことなど、忘れないうちにいろいろ書き留めておきたいのに、育児をしながら他のことをするって難しい……。

まぁ、せっかく田舎に住み始めたのだし、のんびりいこうかな。

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