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100分de名著 「ディスタンクシオン」

今月の100分de名著は「ディスタンクシオン」。

番組では初めてとなる社会学の本。1979年にピエール・ブルデューによって手がけられた著書(ウィキより)。

「ハビトゥス」「界」「文化資本」の三つのキーワードをつかって解説。

ざっくり自分の理解で説明すると(多分間違っている)「ハビトゥス」は私たちがもつ思考や評価を決定する心理的な傾向のこと。(絵が好き。本が好き。などなど)

「界」はある一定の場のこと。例えば芸能界とか音楽界などの界。私たちのような凡人でも様々な界に属している。職場の中での「界」。ネットの中での「界」。趣味の世界での「界」。ブルデューによると私たちはその「界」の中で自己の「ハビトゥス」の優位性(正当性といってもいいのかな?)をかけて闘争している。このときの闘争の掛け金になるものは経済的なお金(経済資本)だけではなく、教養や美的感覚のような「文化資本」も含まれる。

「界」の中でそれぞれ人は自分にあったポジションに行き着く、自分と同様なハビトゥスを持つ人は「界」の中で同様なポジションに行き着く。(ネット配信界だったら動画・文章・写真などの配信方法、料理・趣味・性格分析など配信内容とかで分類できるかな)そして行き着いた人同士がクラスターを形成する。クラスターによって自己が再生産され、界もまた再生産される構図になります。

翻って、ネット界では今様々なポジションが存在している。おそらくそれぞれのハビトゥスの命じるままに個々人が自分のポジションに行き着きたのだろう。そして似たような意見、境遇の人とクラスターを形成している。

クラスター同士は分断の方向にあるように見える。界の中で自分が中心だ、自分が正しい。自分が一番だというからだ。昔、インターネットは世界を一つにすると言っていたが、現状は70億個の世界を作り出しているようなそんな気がする。

複雑に絡み合う「界」の中で現代人は自分の座標をわからなくなってしまっている。どこかで聞いたことのある言葉じゃないけど、「界」全体を総合的、俯瞰的に視ることが、そんな葛藤を超克するために必要なんじゃないのかなと思えた。

個人が俯瞰的に全体を見ることは難しい。権威や組織の力も必要だと思う。メディアや学問(社会学?)あるいは文学の世界の人たちのサポートを願う。

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