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solo 20221006 cafe muriwui


一部の演奏


昨日はソロ 祖師ヶ谷大蔵ムリウイでした。

なんとなく「tubaとシンセサイザーの同時演奏」というアイデアだけを頭に。
電池で動く鍵盤なしの小さなシンセとtubaを用意、エフェクターとか音を変えるものは使わない、とかそういうことだけをなんとなく考えて。
前夜の板オケのライブあと終電帰りの道すがら、一つ思いつく。あれできるのでは?
深夜眠れない時間を構想に、朝はその準備に追われる。

昼は渋谷で次に音楽担当する映画の試写会。
その後、さらに準備買い出しして会場ムリウイへ。
かなり早めにはいって配線などを考える。

一部はまずは生音のソロから。考えてなかったが、速度感を持ってtuba解体もして。
とにかく考えるより早く演奏する。頭悪いんだから考えても無駄。
身体は酷使。何が次に起こるかは自分にもよくわからない。

1部後半は直前に思いついたセット。パーカッションシンセサイザーという本来なら叩いた衝撃で発音する鍵盤のないシンセ、tubaにマイク設置、楽器を吹いたらそれを衝撃と認識させて発音させる。
音の出どころは小さなブルートゥーススピーカーでそれをベルの中に放り込む、tubaの音はスピーカーから殆ど出ない。そのかわりシンセの音がビリビリ出る。
その音をマイクが拾ってシンセは自分の音を衝撃と認識して発音する。
実はこのスピーカーとtubaを使うフィードバックは、以前ここで関島さんがやっていたものに似ている。
僕の場合は、tubaの音は拾わずエフェクターを使わず、シンセだけをぐるぐるフィードバックさせている。
最初はドローンで吹いていたtubaを吹き止めてもシンセは永遠に鳴り続け、振動や微妙な操作で延々と音を変え続ける。
思いつき一発でやったが、実現できた。
電池駆動のシンセと充電式のスピーカーしか使っていない、シンセの音がtubaの中から聴こえるのが面白い。

2部はお店のミキサーに先程のセットも使った。
コンタクトマイクからマイクプリ、センドリターンで信号をパーカッションシンセサイザーBIASに送り、別系統でコルグのVolca modular(VM)も接続。電池シンセ2つとtubaという構成。
またしてもtubaを吹くとシンセが鳴るのだが今度は音ははっきりと重厚でアナログの凶暴な感じもよく出る。
基本的には「tuba吹く→音が出る」だけの行為でtubaによって演奏が変わることはない。どちらかというと「シンセが出した音にtubaで寄り添う」感じ。鍵盤もなくコントロールもしていないので「シンセの上で吹く」というよりも、
全く他人が演奏している音と共演している感じにも似ている。

BIASが誤動作するのは、叩いて使うものなのに管楽器のようなロングトーンの信号を入力されると、そういうふうに出来ていないのでとても変な動きをするのだ。
叩いているだけだと、あまり変化はないのだけど、これが面白い。
ルーパーとか使ってないのに、音が持続してしかもたまに勝手に変化する。tubaを吹いていないときも音が持続する。
その間を繋いでくれるものとしてVMが役立った。簡易鍵盤のようなスイッチを適当に押しながらデタラメにシーケンスを盲撃ちして謎ループ風の演奏を地味にカマしてくれる。これもまた他人風で自分と別な感じ。

tubaの音はそのままにしてある。でもそれとシンセや色々な音が区別がつかないような感じにしたかった。エフェクターで音を変えるのでもシンセを操作するのでもなく、後何人か他人がいる感じ。つまり、変なバンドっぽくしたかったのだ。



最終的には全てがtubaに収束して最も過激な演奏は生音で〆る、という流れになった。
うまくいくとかいかないとか、そういうのではなく、やり終えた感があった。

この日は知己のある電気的トランペット奏者が二人も来場するということで、少し緊張仕掛けたが、まあやれることとやれないことをやるしかないので腹を括ってやってみた。終演後はいろいろと話もできてよかった。

会場ムリウイでは、長年投げ銭のライブをやってきた。これは店主たけしとの共同作業だったという感が強い。彼の信念と僕の音楽の方法が一緒になってきて継続してきた。
時間の経過と時代の変化もいろいろあり、ここでの投げ銭ライブは今年でその役割を終えようとしている。もしかしたらこれがここでの最後の投げ銭ライブになるかもしれない。それでもたけしは言う「投げ銭ライブは最高やで」。

勿論これからもムリウイでライブをやっていくし、僕はどこかで投げ銭ライブをやるだろう。それはまたこれから続いていく違うお話になっていく。

帰り道、一人になって、ライブを終えてホッとしている自分に気がついた。
こういう気持ちになることはあまりなく、久々の実感だった。
この夜はなかなか眠りにつくことが出来なかった。


この日のセット。

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