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特別な日なので少し足を伸ばして海まで来てみた。
家からほんの570キロメーターくらい。


久々に来た湾は氷点下、強風は向かい風で潮が動く時だけ魚の群れを寄せてくれる一瞬を逃さずに竿を出す。
釣れる時間は刹那だけ。


最初にタケノコメバル、久々の尺越え。
グラスロッドが大きく月を描く。


なんとか抜き上げてすぐにシロメバル、こちらは25センチは軽く越えた。



その後はチビちゃいメバルっ子を連発するがガンガンとリリース。

Huerco FF-500CとZEBCO MICRO33のタックルが相性良い。スピンキャストとグラスロッドの組み合わせが好きだ。

釣りは釣っている時間の1/100くらいの瞬間だけ魚を釣っているだけに過ぎない。
釣れていない時間の釣りを楽しめない人には、釣りはおすすめしない。


久々の梅の木の下でウロコ取り。
持ち帰りはそのへんに落ちていた枝を使った。


軽く火を通しただけで身が爆ぜた。
上から触れるだけでもすごい脂のノリだった。


食べ比べるとすぐわかる。
シロメバルはふっくらと柔らかく、タケノコメバルは筋肉質でキシキシとした歯触り。
旨味の質も違う。
贅沢だ。


酒は近所のにした。
昨年はこのあたりで音楽をして生き永らえた。

久々に内風呂の湯船に浸かると、遠く踏切の音が聴こえる。その音以外に人間の気配はない。
人が近くにいない、ということが、心底自分を落ち着かせる、思い出すこの感覚。
こうして2ヶ月以上、一人で音楽をしていたのだった。
見知らぬ人と同じ空間を共有しなければいけない銭湯に通うのが、苦手なのを思い出した。

ここにいると、目にも耳にも人の気配がない。
あの生き生きとしていた日々。

あれは春だった。
草花の芽吹と土から生まれ空からやってくる生き物たちの胎動を毎日捉える録音活動が、自分の命の輪郭をクッキリと切り分けた。

音の少ない冬にここに来るのは滅多に無いことだったが、いまこうしている。
未だ道路は凍結している。
冬から春の裂け目がこぼれ落ちようとしている。
西の北にいます。

特別な数日を過ごします。


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