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ラポールと学び

今回で4回目のコラムになります。読んでいただきありがとうございます。仕事を続けていく中で、仕事から多くの学びを得ています。それが、関わる人や出来事だったりします。機会をいただいたところから大切にしていきたいと思います。

前回の「訪問先で感じとること」のその後のお話をしたいと思います。

雇用前実習がスタートしました。
対象者の支援、事業主の支援、家族の支援の3つの柱が同じ高さで上がっていくように、ジョブコーチ支援の始まりです。身だしなみも整って実習の現場に対象者が立っています。(家族支援)仕事場に入り、早速、見学した2ヵ所の作業を実践します。指導してくださる方は調理場の従業員です。この現場は、洗い場、焼き場の担当者も入れ替わります。

従業員の雰囲気はどうでしょうか・・・?

注文が立て込むときは、無言でキビキビと動き、あうんの呼吸で進めています。自分のポジションでたとえば必要な道具がないとか、洗い物が先行しなければならないなど困った様子を自分の作業を進めながら注文品が出来上がるまでの流れを察知していて、自分が落ち着いた作業状況を確認した人は、持ち場をサッと抜けて、手助けに入ります。注文が落ち着いたときは、ホッとした雰囲気を醸し出し、世間話が飛び出て、従業員さんがお互いに会話を楽しむ様子も見えています。
・チームワークが大切!
・一人で作業を背負わないよ!
・みんなが協力して仕上げていくよ!
のルールがわかります。(作業環境・人的環境)

魚の焼き場で対象者の方が現場の従業員さんに教わりながら焼き始めました。「シシャモ」です。前回、お話ししました魚の焼き網が格子上ではなく縦線の焼き網でした。シシャモは縦線の幅から見ると細い焼き物であり、横に置かないと火元へ落下しそうです。まず、網の真ん中に横にシシャモを置きます。菜箸でひっくり返すのですが、当日、菜箸を目にして、なるほど・・・と思ったのです。家庭用の菜箸の太さではなく、もっと2倍くらいの太さがありました。その太さにより、シシャモを挟むときに、とても安定性が保たれるのです。

上手にひっくり返すことができました。

金目鯛の干物の大きさでも、その太い菜箸が安定性を保ちます。休憩時間に、対象者の方へ、「お家で魚を焼いたりした経験はあるのですか?」と尋ねると「一度もありません」と話されました。
「調理」という概念は複雑ですが
「魚→網の真ん中に置く→菜箸で挟んで同じ場所にひっくり返して置く→反対側を焼く」
👀(目)と👋(手)を使い、手順通りに進めていく・・・。

教えていただいた従業員さんからは、「魚を焼いたことがありますか?」などの質問はありませんでした。
教える際に
「魚をこのようにこの位置に置いて、魚をひっくり返すタイミングは、👀(目)魚を見て(魚の周りの焼き色などを見てね)、菜箸を使ってそっと焼いている面をこのように持ち上げて👀(目)で焼き色を見てみてくださいね。これぐらいの焼き色、薄くても大丈夫だけど、気になったら声をかけてください。皮があるほうは焦げやすいので、最初より早めに見てくださいね。慣れるまでは何度か、持ち上げて見ていいですよ。やっていくうちに上手になるから大丈夫ですよ。」
と話された。

私が見学した際に、不安だった焼き方については、実際、自分の目や手を使って五感を使って経験を重ねてより良い仕上がりを確認し習得していくものだと思いました。支援では、「モデリング」というのですが、動作と視覚から手順や注意点などを説明する。それを捉えて実践してみる。言葉を並べて伝えるより、動作や視覚から捉える方が覚える上での早道もあります。菜箸が使いやすい道具になっていたことも普段、使われる従業員さんの使いやすい道具なのです。わかりやすい説明と大丈夫とのお声がけ、工夫された道具などが新しいことへのチャレンジの背中を押してくれています。
 
 この後の訪問の様子について、次回、またお伝えしたいと思います。

🌺「ラポール」・・・信頼関係を構築すること。支援を受ける側と支援する側との間に信頼関係の構築が必要でありラポール形成が重要である。

🌺「モデリング」・・・仕事のやり方の手本、見本を示して見せること。

ご覧いただきありがとうございます。

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