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2021年8月23日のTOKYO854の放送内容です|Blooming Days -日々是好日-|倉嶋桃子

みなさん、こんにちは。倉嶋桃子です。

通勤途中に、毎年「ゴーヤ(ニガウリ)」のグリーンカーテンを設えているお宅があります。
今年も塀から1階の大きな窓を覆うように立派に育ち、ちらほら実もできているようです。

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最近では夏のメニューとしてもよく知られている「ゴーヤ(ニガウリ)」ですが、調べてみると原産地はインドやボルネオなどの熱帯アジア。
日本へは中国を経て伝わったとされ、江戸時代の1603年長崎で刊行された「日蘭辞書」に名前の記載があったり、1649年に刊行された林羅山の『多識篇』「巻之三 菜部」に「苦瓜」「豆留礼伊志」「錦茘枝(つるれいし)」の名で書かれてありますが、凶作や飢饉のために備えられる食物「救荒(きゅうこう)」と記され、実際に日本で栽培されていたかはっきりしたことがわからないことから、いつ頃渡来したかは不明とされています。ちなみに、沖縄では、1713年の「琉球国由来記」に記録されているのが最初とのこと。

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日本では南西諸島と南九州で多く栽培され、2018年の全国の収穫量の資料によると、沖縄が全体の4割以上を占め、ついで宮崎県、鹿児島県、群馬県、熊本県、長崎県と続いています。
今となっては、本州でも家庭菜園や畑で夏に収穫できる野菜の一つとして、また暑さ対策のグリーンカーテンとして栽培し、利用している方もいらっしゃいますが、沖縄本島産のものが沖縄県外へ出荷されるようになったは、1993年以降。

それまでは、沖縄の八重山産のゴーヤを含むウリ類などの農作物に、卵を産み付けるという害虫「ウリミバエ」の拡散防止措置として、地域外への持ち出しが禁止されていましたが、「不妊虫放飼(ふにんちゅうほうし)」といって、「ウリミバエ」が羽化する2日前にガンマ線を照射し、不妊化した飼育個体を大量に野外へ放虫するという策を講じたことで、「ウリミバエ」の根絶に成功し、沖縄県外へ出荷できるようになりました。
なお、「ウリミバエ」は、日本の侵略的外来種ワースト100に選定されている生物の中で、唯一根絶に成功した生物だそうです。

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「ゴーヤ(ニガウリ)」は、施設栽培などもあり通年購入することができますが、基本的には夏野菜で、この時期のものは味がよく栄養価も高く、価格が安定していると言われています。

緑色が濃い野菜なので、緑黄色野菜かと思われがちですが、緑黄色野菜の定義は100gあたりカロテン含有量が600㎍(マイクログラム)とされているのに対し、生の「ゴーヤ(ニガウリ)」100gあたりのカロテン量は210㎍のため淡色野菜です。
ビタミン類やミネラル成分をバランスよく含み、特に水溶性のビタミンの一つであるビタミンCは、生の「ゴーヤ(ニガウリ)」100gあたり76mg。
これは、生のトマト(100gあたり)15㎎、生のキュウリ(100gあたり)14㎎に対して約5倍、レモン果汁(全果100gあたり)50㎎に対し約1.5倍の量にあたり、ビタミンCが豊富な食材の中でも上位に値する量になります。

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ビタミンCは、加熱に弱いと通常言われていますが、ゴーヤのビタミンCは、加熱しても強いという特徴があるとか。
これは、ゴーヤのビタミンCは、じゃがいもやさつまいものように、デンプンと結合しているからという説や皮が厚いのでビタミンCが壊れにくいという説など諸説あるようです。

また、「ゴーヤ(ニガウリ)」の特徴である苦み成分は、モモルデシン、チャラチン、コロソリン酸、ククルビタシン、といったもので、この中のモモルデシンという成分は、ゴーヤから初めて発見された栄養素で、食欲増進効果や血圧を下げる効果、整腸作用などがあることもわかってきたようです。

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様々な栄養が含まれる「ゴーヤ(ニガウリ)」ですが、注意すべき点もあります。
例えば、モモルデシンという栄養素は過剰に摂取すると、胃液が分泌されすぎてしまうため、胃に負担がかかり腹痛などの症状が出る場合があったり、また、「ゴーヤ(ニガウリ)」の種にはモモルカリンという成分があり、マウス等の動物実験において妊娠阻害作用と堕胎作用が確認されたという資料もあることから、妊娠を希望している方や妊娠中の方は、通常の食品として適切に摂取する場合は安全性が確認されていますが、ゴーヤの種や生の状態のゴーヤを食べる事は避けた方がよいとされています。
なお、健康な方が摂取する場合、どのくらいの量が適正なのかについては、具体的な資料をみつけることができませんでした。

夏バテ解消に「ゴーヤ(ニガウリ)」をよく食べるという話を聞きますが、健康効果を期待して意図的に多く摂取することなどは避け、他の食材とバランスよく取り入れ、自分自身の胃腸の状態、体質、体調などに考慮して食べるようにしましょう。

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さて、今回は、8月23,24日はお地蔵様をまつる行事「地蔵盆」ということで「意外と知らないお地蔵さんのこと」をテーマにお送りいたしました。

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番組では、ポッドキャストによる配信をおこなっています。
従来のPodcastは、著作権の問題で音楽を除外したトークのみのものでしたが、クラウド音楽サービスを利用することによって、ラジオ放送と同じ構成で、トーク・番組内でかけた音楽、両方をお聞きいただくことが出来ます。

番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。「試してみたよ」「作ってみたよ」といった番組で取り上げた内容のご感想、皆さんが感じる幸せのひとときなど、ぜひお聞かせくださいませ。

それから、番組の構成上、時間の都合でリクエスト曲にはお応えできない場合がございます。ご容赦くださいませ。

今週も皆様にとって素敵な1週間になりますように。

倉嶋桃子でした。

<参考資料>

ツルレイシ – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/huv4

ウリミバエ – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/45cs

救荒食物 – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/b2i6

旬の食材をおいしく食べよう♪ABC食材辞典「ピーマン」「ゴーヤー」 | 料理教室・スクールならABCクッキングスタジオ
https://blooming-days.njs.xyz/g3l0

【都道府県】ゴーヤー(にがうり)の産地・生産量ランキング
https://urahyoji.com/crops-bitter-gourd-d/

ゴーヤの栄養と効能!苦みには特有の栄養が隠されている? | 食・料理 | オリーブオイルをひとまわし
https://blooming-days.njs.xyz/s44c

第2章 日本食品標準成分表 PDF(日本語版):文部科学省
https://blooming-days.njs.xyz/75w8

ニガウリ | 成分情報 | わかさの秘密
https://himitsu.wakasa.jp/contents/nigauri/

ククルビタシン – Wikipedia
https://blooming-days.njs.xyz/njxr

ゴーヤについて|医療専門家が個別回答 妊娠・出産・子育ての悩みを解決するオンライン相談|ベビーカレンダー
https://blooming-days.njs.xyz/3lcv

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