小便器はもういらない

 小便器。

 男性用トイレの壁際に並ぶ、あの小便器。世の男性がどう思っているかは知らないけれど、わたしはアレいらない。

 なに小便器って。小便器。小便専用便器。シャア専用小便器。通常の3倍のスピードで放尿。赤い血尿。ヤダちょっといいかも。

 全然よくない。小便するためだけの器物など非合理に過ぎる。所有している包丁がダイコンしか切れないダイコン専用包丁だったらどうする。ニンジンを切ろうとしたらいちいちニンジン専用包丁に持ち替えないといけないんだぞ。ふろふき大根しか作れないじゃないか。それはそれでいい。ふろふき大根おいしい。

 便器だって同じだ。大も小も全部に使えろ。オールマイティーであれ。なぜわざわざ小便器と大便器に分ける必要があるのか。大便器だけでいいんだよ。なぁ志乃。

 予算や設置スペースの問題があることは理解できる。股間のファスナーを下ろしてチャチャッと済ませられる小便器の方が効率的なのも確かだ。

 だが小便を我慢できずに絶望の淵に立たされる男性より、大便を我慢できずに三途の川に片足を突っ込む男性の方がはるかに多いはずだ。

 小便ならそれなりに我慢が出来る。どうしても我慢ができなくなったら、法には触れるがどこかの陰でイチモツをボロンと出して放尿することもできないわけではない。あぁ、わたしの場合はサイズ的にポロンだった。すいません見栄を張りました。

 それに小便なら仮に漏らしたとしても、まぁ惨事ではあるにせよそれほど酷いことにはならないだろう。せいぜい大きなシミがズボンにできるくらいだから、いつもより多量の残尿ということで手を打ってくれまいか。

 ところが大便の場合はどうだ。漏らした場合の絶対的な負の衝撃。視覚と嗅覚をもって周囲を襲う無慈悲な攻撃。憐れみの目。積み上げてきた地位と尊厳がもろくも崩れ去り人生が終わる。強制的に終活をさせられることになるのだ。

 汚い話に終始してしまったが、私は小便器の廃止、そしてそれに変わる大便器(個室)の設置を強く提案したい。

 ただし立ったまま小用を足す男性も多いことから、すべて大便器にしたことで跳ね返りによる衛生面の低下が今後の課題となろう。

 ぜひ次回はその点について改善案を検討したいと思うが、果たして次回があるかどうか、わたしは知らない。


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