在宅勤務ハック_タイトル5

在宅勤務ハック 「ヘルスケア」編

在宅勤務は自宅に閉じこもるので、ふたつのリスクが生じます。ひとつは運動不足、そしてもうひとつはメンタル問題。前者は体を動かせば解決しますが、後者はそうではありません。人がいなくて寂しい。成果を出しても褒めてもらえず、達成感がない。今までの職場とはまったく違う環境の中で、メンタルをやられてしまう人も少なくありません。

しかしこれは、新しい働き方を実現するための、ある意味副作用みたいなものです。今までは身体的に動いていることを持って「働いている」としていました。肉体労働だけでなく、知識労働においても、「キーボードになにか打ち込む」という動作でもって、働いていると認識されていたのです。

しかし、そうした身体感覚の共有が行われない在宅勤務においては、「汗をかいている」という身体的な表現はまったく考慮されず、結果として、純粋な成果だけが前面化していくことになります。身体がまったく置き去りにされていくなかで、どうやって精神を落ち着かせるか。そのヒントを盛り込んでみました。

これからの時代、身体を動かすということで働くと認識される疑似肉体労働時代は終わりを告げ、純粋な知的労働時代が始まります。そのときに身体は、知的労働に必要なイメージをもたらす、創造性の源泉として活用されるようになります。このパラダイムシフトは、無意識も含めた身体感覚をどう活用するかという前向きなものでもあるのです。

リングフィットで運動不足を解消する

在宅勤務の問題のひとつに、運動不足があります。仕事に熱中していると、ついついそのまま何時間も家の中で過ごしてしまうこともあります。また、通勤がない分、外に出ることがなくなり、運動する機会を失ってしまいます。東京で過ごしていると、通勤や移動だけでも一万歩を歩いていることもありますが、在宅勤務になると、ひどい日には二千歩しか歩いていないなんてことも起こりえます。

在宅勤務であれば健康に気をつけることはもちろん、その健康は、やはり仕事のアウトプットにつながるようなものであってほしい。若いころはまだしも、年齢が上がるにつれ、集中力は体力に依存するということを実感する場面が多くなります。昔は徹夜しても翌日平気だったのが、40歳もすぎると、徹夜したときのダメージが一週間くらい続いてしまいます。

こうした運動不足を解消しようと、Nintendo Switchのフィットボクシングを始めたのですが、これがなかなかいい運動になります。フィットネスクラブのボクシングエクササイズのように、リズムに合わせてパンチを繰り出します。30分もやっていると、汗だくになる。翌日にはちょっとした筋肉痛にもなる。それくらいの運動量があります。

それから、2019年に発売され大人気となったリングフィット・アドベンチャー。こちらは、運動により一層ゲーム的な要素が加わり、子供から大人まで楽しめるものになりました。敵を倒したり、ボートを漕いで進んだりと、運動を運動と感じさせない工夫が随所に施されています。子供たちと一緒にゲームをやっていると同じ話題もでき、家族間のコミュニケーションも増えます。

新型コロナによる休校措置のときにも、リングフィットがあるおかげで、子供たちが運動不足になることがありませんでした。筋力トレーニングだけではなく、バランスを整えたり、体幹を鍛えたりするゲームも多く、スポーツの基礎トレーニングとしてもいいのではないかと思っています。

考えごとをするときには早足で歩け

仕事が煮詰まったときには、散歩がおすすめ。はや歩きくらいのスピードで歩いていると、脳に刺激が与えられ、頭もスッキリします。机に向き合っていたときには思いつかなかったようなアイデアが浮かんできたりすることもあります。
ある研究によれば、脳への刺激は運動による神経的なものではなく、自然を踏みしめるとき物理的衝撃によるものだということです。実験では、軽いジョギングの1G程度の衝撃での効果が証明されています。静かに歩くのではなく、元気よく大地を踏みしめながら歩くといいかもしれません 。

すでに情報整理編でも触れたように、イヤホンで情報インプットをしながらの散歩もいいでしょう。私は、YouTubeやTedにアップされている講演動画などを聞き流しながら歩いています。散歩だけだと退屈してしまいますが。耳から受け取る情報の刺激もあって、さらにアイデアを発想することができます。

マトリックスの世界のように、脳の中の妄想だけで世界が成り立っているのではありません。人間は、当たり前ですが、それなりの身体をもった心身が相関する生物です。身体的な動きの中で生命活動が活発化し、それに伴って発想ができるようになる、動物的な側面を持っているわけです。

体を健康に保ちながら、そのことによって頭も働く。在宅勤務では、そうした心身の関係により一層注意を払う必要があります。そうして無意識の領域をもコントロールするのです。

心を鎮める瞑想ワークスタイル

GoogleなどのIT企業がマインドフルネスに取り組んでいるという話をよく聞くようになりました。マインドフルネスとは瞑想のようなもので、雑念を取り払って今ここに集中するための方法です。有名なところでは、スティーブ・ジョブズが座禅にはまっていたという話もあります。ITのような最先端で動きの早い業界や、経営者という絶えずプレッシャーに晒されるような人たちが、自分をどうやってクリエイティブな状態に保つのか。そのヒントが、マインドフルネスにあるようです。

在宅勤務は周りに人がいないということもあって、瞑想をするのもかんたんです。瞑想の基本は呼吸法です。まずはしっかりと肺の中にある空気を吐き出して、そこからゆっくり息を吸い込む。Apple Watchの機能にも「呼吸アプリ」があり、定期的に深呼吸を促してくれます。もし不安なことや心配事があれば、呼吸から整えてみるといいでしょう。

また、情報整理編の音声入力のところでも触れましたが、仕事をするときのイメージ作りが、これからどんどん必要に重要になってきます。音声入力するとき、目をつぶって自分の思考に意識を向けながら、頭の中に浮かんできたイメージをしゃべるようにしています。そうやってアウトプットに集中しているその瞬間というのは、半分瞑想のような状態になっています。

在宅勤務というのは、こうしてどんどん瞑想のようになっていきます。オフィスでの仕事のように、流れ作業のような仕事の仕方ではなくなります。自分と向き合い、自分の頭の中に浮かんできたイメージを広げ、それをアウトプットする。在宅勤務は、座禅なのです。そのワークスタイルを先取りしているGoogleなどの先進企業がマインドフルネスに着目するのも、当然なのです。

心落ち着き、イメージがどんどん現実化する瞑想ワークスタイル。これがいち早く実践できる在宅勤務。従来では考えられなかったような超高速・大量アウトプットの創造性の最先端が、ここにあるのです。

在宅勤務の食事問題を、器で解決する

在宅勤務していると出不精になって、コンビニ弁当で済ませてしまったり、食が貧しくなる傾向があります。これは私の場合ですが、食に全くこだわりがないので、3食すべてコーンフレークで済ませてしまったこともありました。栄養の五角形がすべて満たされる完全食ともいえるコーンフレークは、確かに朝食にはよいのですが、夕食までそれで済ませてしまうと、ちょっと寂しいものがあります。

どうしても貧弱になりがちな在宅勤務の食事問題、どうすれば解決するでしょうか。

気分転換のために外食をするのも、もちろんよいでしょう。しかし毎回毎回外食だと、当然栄養バランスや塩分の取りすぎなどに気をつけなければならなくなります。ここでは、家で調理をしながら、贅沢に感じられる食事を考えてみたいと思います。

オススメは、器を変えること。私自身、東京の自由が丘に沖縄の焼き物、いわゆる「やちむん」を専門に取り扱うお店「ニライカナイ自由が丘」を運営しています。さまざまな種類のやちむんがあり、その器のデザインによって、乗せられる料理の雰囲気がまったく変わります。

Instagramには、やちむんを使った食事の盛り合わせを写真に撮ってアップする人がたくさんいます。食事の内容が変わらなくても、器を変えるだけでとてもおいしそうに見えるから不思議です。お惣菜はコンビニで買ってきた卵も器に乗って帰ると言う言葉をかけるだけで食事が変わっていくのです。 友人を招いての食事も、器に助けられています。

食事をエンターテイメントとして考えた場合、器による演出もおすすめです。

血糖値スパイクを避ける

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