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佐々木希世|高い生産性とゆるさが共存する新時代の働き方 イタリア式ワークスタイル【文末に動画あり】

「働き方改革」と聞いてどんなイメージが浮かびますか? 今回は、アメリカとイタリアと、そして日本で「働く」を経験した佐々木希世さんをお迎えして、ご著書『半径5メートルの最適化仕事術』から「雑談」をテーマにお伺いしました。(文・写真 片岡峰子/グレフィックレコーディング 上園海)

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雑談のススメ

「働くひとが幸せを感じる」ことが働き方改革の起点になるといい、とおっしゃる佐々木さん。「実は、北イタリアはヨーロッパ一といわれるくらい生産性が高いんです。イタリア人というと、とかく楽しいことが大好きで、長ーい休暇をとる、というイメージがありますが、残業をいとわないひともいるし、プライベートの時間を自分の技量を磨くことにつかうひともいる。休憩時間もしっかりとるし、その代わり仕事だ! とスイッチが入るとその集中力たるや目をみはるものがある。根底に『自分個人の幸せを大切にする』という軸があるんです。」

今日のテーマは「雑談が生産性を上げる」。まずは雑談してみましょうよ、と参加者のみなさんにも二人一組になっていただいて「雑談」が始まりました。

単なる雑談に+α、あとから「他己紹介」をしますので、相手のお話をメモをとりながら聴きます。いまのお仕事や、今日どこから来られたか、お名前の由来、どんな仕事の仕方が好きか、などなど、お互いに「その人となり」がわかるような質問がなされていました。

そしてあとから「このお隣に座ってらっしゃる○○さんは…」と自分が聞き取った内容をみなさんに紹介する。できるだけ魅力的な部分を引き出そうする10分間。

登壇席の、佐々木さん、小山もお互いを知る質問を投げかけ合います。ちなみに、佐々木さんが紹介した小山龍介はこんな感じでした。「ロジックだけでなく、人の感情の動きを大切にしています。子どもさんを映画に連れて行ったときに、映画を見てだーっと泣く、その姿を見て、感情を大切にすることって大事なことじゃないかと、最近は共感するって大切だと実感していて、仕事にも活かそうとしています。ロジックと感情のバランスをうまくとっている方です。大学院で学んだり、能のお稽古もしたりしてご自分を高めていきたい方だと感じました。チャレンジャーな小山さんです。」

一方の佐々木さん。「美術館でのインターンは、なかなか大変だった。業界も狭いし、足の引っ張り合いや冷たい戦いがあった。そのあとの為替のディーラー、ものにあたるような裏表ない世界。そこから人に興味をもっていった。お子さんが2人いて、上のお嬢さんはどちらかというと神経質、人見知り。旦那さんがそういうタイプ。対して、下の子ははっきり物を言うタイプ。お姉ちゃんのほうが弟に頼っているくらいで、佐々木さんに似ているそう。もしかしたら、夫婦間もそんな関係なのでは、と推察します(笑)」

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こんな感じで、参加者のみなさんにも他己紹介していただきました。ほんの10分程度の雑談でしたが、会場の雰囲気ががらりと変わります。おしゃべりって人と人との距離をぐっと近づけるもの。よりリラックスした関係になるし、親しみを感じやすくなりますね。

いろんなところに顔を出して雑談するひとは幸せ

ここで佐々木さんから紹介されたのは、日立製作所の矢野和夫さん。ご存知『データの見えざる手』を著された方です。矢野さんは、ハピネスという概念の研究をされています。ビジネスに役立つテーマとしてハピネス(幸せ度)を計測しようと、ご自身を実験台にして、脈拍や呼吸数などを測定しながら日常を送ったといいます。

実際にある企業で実験してみたところ、「非定型の動き」が多い人がハピネスが高い、という結果が出たのだそう。運動量の多寡ではなく、毎日違った動き、かつ、双方向の会話がある方が幸せ度が高いという結果が…! つまり、いろんなところに顔を出して雑談するひとが幸せ。そして、そういうひとの周りにいるひとも同様の結果が出たそうです。ハピネスって伝染するんですね。そりゃあ、いつもにこにこしているひとのそばにいたいですもんね。

あるコールセンターでの実験では、ハピネスが高いひとは、営業生産性が3割高い。クリエイティビティは3倍高い、という結果も出たそうです。これはもう『職場においては、幸せはひととの関わりで生まれてくる。雑談の効用ってすごいんじゃないか!』ということですね。

実際、今回参加のみなさんからも「雑談してみて、頭が働く感じがする。頭の回転が上がる」とか「話すことによって緊張感がほぐれる。警戒心がなくなる。共通点を見つけるとうれしくなる」などなどの声があがりました。そう話す皆さんのお顔がとってもにこやかなのが印象的です。

お国柄によって異なる「雑談」

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