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在宅勤務ハック 「情報整理」編

情報整理というテーマは、そもそも在宅勤務に関係なくどんなときにも重要なことなんですが、なぜこれが入っているかと言えば、あの昭和の亡霊、「紙」の存在があるからです。在宅勤務が始まって、書類への捺印のために出社する、なんてアホらしいことが、今でもまかり通っているわけです。

このテーマを書き始めたのはこんな後ろ向きの理由だったわけですが、しかしいろいろ振り返ってみると、在宅勤務ならではの情報収集術も、確かにあることがわかってきました。それは、音声や映像を、周りに気兼ねすることなく流すことができるということ。

これから5Gのサービスが始まると、モバイルインターネットの通信制限もどんどんなくなり、つなぎ放題の時代がいよいよ本格的になる。さまざまな映像サービスが提供されていく時代にあって、「まわりに気兼ねして映像を見ることができない」という会社の環境は、実は時代遅れになるのではないか。

つまりこれは、紙からデジタル、という話ではなく、紙から映像へというパラダイムシフトが起こっているのではないかという、そういう時代認識に基づく在宅勤務ハックなのです。

紙の書類が抱える3つの問題

捺印。まあなんとも昭和な風景ですが、なかなかなくならない。先日も一般社団法人の設立を行ったんですが、うっかり印鑑をつくるのを忘れていて、あわてて作成したりしました。いったいいつの時代なのかと思ってしまいますが、デジタルに移行できずにいる究極の原因は、この印鑑文化にあるのではないかと思います。

行政からの仕事でも、あらゆる書類が紙で送られてきて、データになっていない。毎回、書類が溜まっていき、その保管に本当に苦労します。学校からの連絡も、子どもが持ち帰る紙の手紙が基本です。先日、銀行と打ち合わせに行ったら、うちの会社のような零細企業についても、ちゃんと紙の書類を整理したファイル一式があり、驚きました。大企業のものまで含めたら、どれだけの書類が保管されているのだろうか。

ともかく、今、この時代の日本においては、まだまだ紙が重要であり、在宅勤務をするにあたっても紙とのうまい付き合い方が必要なのです。

紙というのは、いくつもの問題があります。まず、とにかくスペースを取ります。一枚一枚は薄くても、まとまるとそれなりの分量になり、保管スペースが必要になる。また、一度保管してしまうと、死蔵されてしまうことも多く、ほとんど手に取らない重要ではない書類も、重要な書類に紛れて保管され続けてしまう。潤沢なスペースのあるオフィスであれば問題ないのですが、自宅にそのようなスペースを用意するのは大変です。

第二に、持ち運びがたいへんだということです。会社に届いた書類は、データであればメール一本ですが、紙の書類を転送するにはコストも時間もかかります。せっかく在宅勤務を可能にしても、紙の書類を受け取るために、捺印のために、会社に行かないといけないという状況が生まれてしまいます。

第三に、検索性が低いということです。探そうと思っても、山積みの書類の中から目的の書類にたどり着くのは、本当にたいへんです。大塚商会の調査によれば、年間150時間もの時間を、ものを探すということに使っているということです 。在宅勤務に限らず、こうした「探す時間」を減らすべきだというのは、当然の帰結でしょう。
もう何十年も言われ続けているペーパーレス。在宅勤務する人にとっては死活問題とさえ言えるでしょう。これを機会に実現していきましょう。

紙を瞬時にデータ化する神アプリOffice Lens

紙の書類は、法的に紙として残しておかないといけないものを除き、データにする。これが大原則です。この原則を実行するには、手軽にデータ化するプロセスが欠かせません。

その紙?いや神アプリとして紹介したいのが、Microsoftのモバイル版のOfiiceアプリ。以前はWordやExcel、PowerPointに分かれていたアプリが、ひとつのOfficeアプリへと統合されたのですが、その際、書類撮影アプリである「Office Lens」が統合されました(以降、この機能を「Office Lens」と呼びます)。

このOffice Lensですが、書類を斜めから撮影しても傾きを自動補正してくれます。これがなかなかの精度で、最近のスマホのカメラ品質向上もあって、下手なスキャナーよりもよっぽど高精細に撮影が可能です。もともとのデータが高精細なので、傾きを補正してもしっかり字が読めます。また、ホワイトボードモードにすれば、あの独特のコントラストや反射を考慮した画像補正をしてくれます。

このOffice Lens、さらにすごいのは、書類の文字データをOCR機能によって読み取ることができ、書類を画像データだけでなくそのままWordファイルに変換してくれるのです。その精度もかなりのもので、ちょっとくらい歪んでいても読み取ってしまいます。

書類を受け取ったらできるだけ早く、このOffice Lensで撮影して保存するようにしています。というのも、受け取った日時という情報が、あとからの検索に非常に重要になるからです。たとえば、打ち合わせの日時はスケジュールをみれば確認ができます。その直後の時間に撮影された画像をみれば、その日に受け取った書類データを見つけることができます。日時による画像検索を有効にするためにも、受け取ったらすぐに撮影を意識しておきましょう。

大量の書類をデータ化するならScanSnap

スキャンする書類の量が多い場合は、やはり専用のドキュメントスキャナーが便利です。ScanSnapはその定番です。私は、iX500という卓上型のものを使っています。最大50枚、フィーダーに原稿を乗せることができ、一分間に25枚のスピードでスキャンしてくれます。束の書類でもあっという間です。今は、新しいix1500というものが出ています。

このScanSnapがいいのは、クラウドサービスとも連携しているところ。スキャンしたデータは自動的にDropboxへと保存されるようになっていて、データがすぐにチームメンバーとも共有できます。

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名刺のデータ化にはEight

名刺の整理は、Eightを使っています。スマホの名刺アプリで、その場でOCRによる読み込みと、あとは手入力も組み合わせた読み込みで、精度は高いです。スマホの電話帳にも連携し、入力した名刺データがすぐに連絡先にも追加されます。
またEightからメールを送ることもできるのですが、そのとき、メールの冒頭にちゃんと相手の会社名、部署、肩書などを自動入力してくれて、メール作成の手間も省くことができます。これもまた非常に便利です。

さらにこのEightが優れているのは、SNS的な機能も備わっていて、情報がアップデートされる点。つながりのできた人が投稿した近況情報やその会社の企業ニュースが流れてきたり、名刺のアップデートなども自動で行われるのです。普通の連絡先データは、当たり前ですが、自動でのアップデートはありません。そのため、名刺を受け取ったその日から、どんどん古い情報になっていってしまいます。Eightはそういう心配もないですし、加えてニュースも流れてくるというすごい名刺アプリなのです。

経費精算もアプリで完結させる

私の会社では、経費精算もアプリで完結させています。freeeというアプリで、領収証を写真に撮って、そのテータを添付して経費登録することができます。

私の会社では、各自がこれをやって提出、経理側でチェックして、最後は私が承認して精算というフローで行っています。残念ながら、法律上、アプリの撮影ではスキャン保存の要件を満たしておらず、領収証の原本は必要となるのですが、それでも随分楽になります。領収証は、あとでまとめて保管するようにしています。

freeeのアプリも年々進化していて、Office Lensと同様に傾き補正の機能も加わっています。また、撮影した領収証のデータをOCR解析した上で、金額や費目など推測して自動入力もしてくれます。入力の手間も省けるので、重宝しています。

メンバーとのDropbox共有とフォルダルール

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