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小山龍介のイノベーション・トーク

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イノベーション人材が育つ‹場›についての講演や対談をお届けします。
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#ビジネスモデルキャンバス

小山龍介 出版記念講演 『ケースメソッドMBA 実況中継|03 ビジネスモデル』(後半)

2020年9月25日に出版された『ケースメソッドMBA 実況中継|03 ビジネスモデル』(小山龍介著/ディスカヴァー・トゥエンティワン) これをうけて10月15日、著者がアドバイザー/ファウンダーを務める一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会主催で出版記念講演(オンライン)が開催されました。後半の質疑応答部分をお届けします。 (前半の記事はこちらからどうぞ) 「本に書いちゃったら次の授業は?」 Eさん:実際の授業がそのまんま本になったのですか。これから受ける授業は

小山龍介 出版記念講演 『ケースメソッドMBA 実況中継|03 ビジネスモデル』(前半)

2020年9月25日に出版された『ケースメソッドMBA 実況中継|03 ビジネスモデル』(ディスカヴァー・トゥエンティワン) これをうけて10月15日、著者がアドバイザー/ファウンダーを務める一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会主催で出版記念講演(オンライン)が開催されました。この様子をお届けします。 ケースメソッドを体験してみよう小山龍介(以下、小山):皆さんこんばんは。今日は本に書いていない背景をご紹介したいと思っています。書いてないと言いつつ、ちょっと匂わし

小山龍介講演|アートがひらくビジネスモデル

今日最後の講演になりました。一日の講演の整理になれば、と思っています。[注1]タイトルは「アートがひらくビジネスモデル」。オリンピアのテーマは「アートがひらくイノベーション」。一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会として、「ビジネスモデルをどこに位置づけるのか」をお話ししたいと思います。 建築物から労働の喜びを見出したジョン・ラスキンまずは、ひとりの人物からスタートしたいと思います。2000年ごろから注目されている、もともとは美術評論家で、いまは経済学者として、また、

ビジネスモデル創造の図解術と、新しいエコシステム・フレームワークを求めてー近藤 哲朗・小山龍介対談『ビジネスモデル・ビジュアライゼーション』(3)

近藤氏からビジネスモデル図解について、小山からビジネスモデル・キャンバスについての紹介が終わった後、ビジネスモデルの図解についての対談に移っていった。話題は、ビジネスモデル創造のための図解アプローチの可能性へと広がっていった。(文・構成 小山龍介、写真・片岡峰子) 共通言語としてのビジネスモデル小山龍介(以下、小山):近藤さんのビジネス図解研究所としての活動自体、会社の枠組みを超えているところがおもしろいです。働き方改革のなか、副業なども認められるようになってきて、会社の中

オントロジーとしてのビジネスモデル・キャンバスと競争優位の5つの階層ー近藤 哲朗・小山龍介対談『ビジネスモデル・ビジュアライゼーション』(2)

近藤哲朗氏の講演に続いて、ビジネスモデル学会プリンシパルの小山龍介から、ビジネスモデル・キャンバスについての紹介へと移った。(文・小山龍介、撮影・片岡峰子) 小山龍介:近藤さんの話を受けて、ここからはビジネスモデル・キャンバスの説明をしていきたいなと思います。これが、9つのブロックで構成されるビジネスモデル・キャンバスです(下図)。近藤さんの説明を借りるなら、右側には「誰に対して何を」というマーケティングの話が入ります。左側には、「誰がどのように」というエンジニアリングが記

ビジネスモデルを動態的システムとして捉えるにはー『ビジネスモデルダイナミズム』

AmazonやNetflixのビジネスモデルを見ていくと、将来的にこうなると予想もしていない、ある種のダイナミズムが起こっています。まるで「赤ちゃんが大きくなって成人して、仕事に就く」かのような生命的な動きをしている。このことを「ダイナミズム」と呼んでみよう、とそう思ったのがきっかけです。 AmazonやNetflixは最初からこうなることがわかっていたのか? たとえばAmazon。最初は世界最大の書店と言われて、また自分たちもそう呼んで、最初は本だけを売っていました。なぜ

ビジネスモデルに革新をもたらす「逆説の構造」とビジネスモデル図解ー近藤 哲朗・小山龍介対談『ビジネスモデル・ビジュアライゼーション』(1)

ビジネスモデルの議論はえてして、空中戦になりやすい。それは、経営上のさまざまな要素が複雑に絡み合っているからである。複雑な構造体を議論するための共通言語として、「ビジネスモデル・キャンバス」が開発され、多くの企業で採用されている。また、ビジネスモデルを図解する動きとして板橋悟によるピクト図解や近藤哲朗によるビジネスモデル図解の手法が登場した。 ビジネスモデル・キャンバスが構造の可視化であるのに対し、こうした図解は取引関係やカネ・モノ・情報の流れなどの、プレイヤー間の広義のコ

即興から構想へ ー共創の〈場〉における ビジネスモデルの役割ー

 ここ数年、即興、いわゆるインプロビゼーションに取り組んでいます。シナリオも準備もなく、その場で物語を作っていく。非常にクリエイティブな営みです。しかし、即興だけでは不十分です。即興だけでは、「楽しいな」「よかったな」で終わって、あとに残りません。即興で生まれたものを構想につなげていくというのが重要なんです。  即興から構想へのブリッジをどう結んでいくのか。それが今日のテーマになります。 イノベーションを実現する3つのマインドセット  イノベーションがその会社内で本当に実