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Bloom Notebook

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#レビュー

安田早苗の絵画 三上豊 美術書編集者 2021.3.13-28 悪夢に咲く @ロクの家

 2021年3月13日、千葉県は銚子に安田早苗さんの展示を見に行った。数カ月前にお声がかかり、展示会場では、ミニマルアートとか新表現主義などについて、私感を述べさせられた。会場は木造2階建ての旅館を改造し、アトリエであり、展示場であり、アーティストレジデンスとしての機能をもつ「6の家」と名付けられた空間で、宮内博史さんが1年以上をかけて改築した建物である。特に宣伝をしているわけではなく、知る人が少しづつ増えるなり、来訪した人が気にしてもらえればいいような、のんびりした、軽みを

¥100

異種格闘技 鷲田めるろ 2020.1.10-2.1 だれもあのこをとめられない @eitoeiko

五箇公一と安田早苗の二人展である。 五箇はアーティストではない。ダニの研究者である。普段は目にすることのない小さなダニとその生態をコンピュータグラフィックで拡大して描いている。展覧会のオープニングでダニに関するトークが行われたが、交尾のこと、寄生のことなど、それぞれのダニに関する膨大なエピソードがあって、五箇の思い入れの強さが感じられた。 一方、安田は、教育者としての顔も持つものの、基本的にはアーティストである。花粉や種をモチーフにしながら、植物の移動や交配について考え、油彩

種をまく人   半田滋男  和光大学教授 2018.9.1-9.22 @eitoeiko

 絶滅危惧種をリストする環境省のレッドリストによれば、目下日本では3,600種以上が絶滅の危機に瀕しているという。その主な原因は、さまざまな方法によって移入してきた外来種が、従来の生態系に与えた影響と、種の攪乱によるとされる。  20世紀後半以降移入し、生態系に影響を及ぼしているミシシッピアカミミガメ、アライグマ、ヒアリのような外来種も存在するが、太古の昔に移入してきて、最早環境に同化しているが、我々の知り得ぬ昔には、かつて存在していた在来種を駆逐したであろう種も存在するだろ