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妄想世界旅行

駆け出しのライターとして出会ったメンバーたちが、毎回特定のテーマに沿って好きなように書いていく「日刊かきあつめ」です。
今回のテーマは「#妄想旅行」です。

小学校の低学年だった頃、祖父母から、ピサの斜塔の置物をお土産に貰った。その時初めて世の中にそのような建物が存在していることを知った。「何故、傾いているのか?」、「何故、そんな危なっかしいものを放っておくのか?」、不思議で仕方なかったのを覚えている。

しかし、それは実のところイタリア土産ではなく、日光土産だった。祖父母は、世界の建造物や世界遺産が1/25のサイズに縮小された世界が広がる東武ワールドスクウェアに行ったのだ。

それからというもの、そんな不思議な世界にいつか行ってみたいと思っていた。結局、実現したのは10年以上経ってから。真冬の大雪の日に強行された家族旅行で叶えられた。

目的地に向かう特急の中、窓の外の雪は、刻一刻と激しさを増していった。辿り着いたら、一面、雪景色だった。悪天候のため、もちろん入園者は少なかった。

……エジプトのピラミッドは、雪が積もり雪山のようなっており「こんな光景はなかなか見られませんよ」スタッフの方がメンテナンスのためにホースで雪にお湯をかけながら教えてくれた。そうだよね、エジプトに雪は降らないよね、多分。

東京駅では、人(ミニチュア人形)が雪で生き埋めになっていた。人が雪の中から首だけ出ていることに気がついたあの衝撃は、忘れられない。本当に怖かった。

ヴェルサイユ宮殿は、建物の形が見えず、宮殿の庭にあると思われる噴水だけが静かに吹き出していた。おや?あれは?

「ねぇ、これ何?」
「うーん、何だろう……」

展示物の名称が書かれたプレートを手探りで探しあて、雪に覆われた世界遺産を眺め、想像力を働かせ納得し、また別の展示物の前にて、かじかむ手でプレートを探す……を繰り返し、我ら家族の世界一周旅行は無事終了した。とにかく、寒かった。でも楽しかったな。

思い出に残るのはいつも、何かしらあった時だ。

まだ海外はちょっと……と思うあなた、東武ワールドスクウェアで妄想世界旅行はいかがでしょうか?1/25の世界一周旅行が待っています。もちろん、晴れた日がおすすめ!

編集 :  べみん

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