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【初心者向け】ホールについて

シングルハンドキャストには不可欠なテクニック

シングルハンドの
フライキャスティングをする上で、
ホールというテクニックは
必要不可欠なテクニックだといえます。

ホールをすることで
より遠くまでキャストすることができるようになり、
比較的短い距離のキャストでも、
より楽にこなすことができます。

また、このテクニックを使ったキャストは、
風にも影響されにくく、
ラインのコントロールも
向上します。
そのため、ターゲットに向かって
より正確なキャストが可能となり、
木の枝の間などの障害物の
間を縫ってキャストするなどと
いうこともしやすくなります。

ホールとは

まだフライフィッシングを
はじめて間もなく、
ホールというものを
ご存じない方のために、
簡単にホールというのはどういうものか
ということをご説明しておきます。

ホールというのは
シングルハンドロッドで
キャストする時に、
ロッドを振るのに合わせて、
ラインハンドでラインを引くテクニック
のことをいいます。

ホールの効果

このことによって得られる効果は
ざっと以下のようなものになります。

1.ラインのスピードが上がる

ロッドを振る時に、
同時にラインを引くと、
その分だけラインのスピードを
より早くすることができます。

投げているラインのスピードが
上がるということは、
より遠くまで飛ぶということは
容易に想像がつくと思います。

また、スピードが上がれば
風に流されにくくなり、
つまりは風に影響されにくい
ということになります。

このラインのスピードが上がるということが
ホールの最も大きな効果だといえます。

2.ロッドをより大きく曲げられる

ロッドを振りながら
ラインを引くことにより、
ロッドはその分少し大きく曲がります。

このことは
ラインをはじき出すための
ロッドのパワーがより多く
ロッドの曲がりとして
蓄えられということになり、
これもラインのスピードを
上げるということに貢献します。

3.ラインをより長く引くことができる

キャスト中にラインを引くことにより、
その引いた分だけ
ラインをより長い距離
ターゲットに向かって引くことができます。

このことは
ラインの直進性をより高め、
正確性をより高めることができます。
また、必要とあれば
より狭いループでキャストすることも
可能になります。

ホールの種類

ホールにはバックキャスト、
あるいはフォワードキャストの
どちらかの時だけ
ラインを引くシングルホールと
バックキャスト、
フォワードキャストの
両方でラインを引く
ダブルホールがあります。

シングルホール

シングルホールは
ダブルホールと比べると
難しいテクニックだといえます。

人によっては
ダブルホールだけできればよい
という人もいますが、
シングルホールは
後ろから、あるいは前から
強い風が吹いているときなどでは、
たいへん有用なテクニックです。

ただ、後述のダブルホールと比べると、
より高度なラインコントロールが
必要となり、
難しいテクニックのため、
ここでは
詳細な説明は割愛し
別の機会にご説明します。

ダブルホール

多くのケースで
最もよく使われるホールが
このダブルホールです。

その名の通り、
バックキャストと
フォワードキャストの
両方でホール、
つまりラインを引く動作をします。

ダブルホールのしかた(初心者向け)

それでは、
基本的なダブルホールのやり方を
ご説明します。

バックキャスト

先ず、ピックアップの時と同じように
ラインを前にまっすぐ伸ばしておき、
ロッドを低く、
ラインと同じ方向に
向けて構えます。

この時、
ラインハンドはロッドハンドの近く、
横に構えます。

ラインハンドと
ロッドの
ストリッピングガイドとの
間のラインには
たるみが無いようにしておきます。

ロッドハンドと
ラインハンドを一緒に動かしながら
ロッドを少し持ち上げてから、
バックキャストを開始しますが、
同時にラインハンドを
斜め下、
少し前方向に引っ張ります。

ラインハンドのラインは
しっかり持って、
手の中でラインが滑り出ないように
気を付けてください。

バックキャストの
ロッドをストップするのと同時に
引いたラインハンドを
ロッドハンドの方に
近づけます。

このラインハンドを
ロッドハンドに戻すのは
ロッドをストップするのと
同時に行ってください。

ロッドをストップするより
前に戻してしまうと
テーリングループに
なりますし、

戻すのが
遅れると
途中で戻すことが
出来なくなってしまいます。

ラインハンドを
ロッドハンドに近づけている間は
ロッドハンドは
止めた位置で動かさない
ように気を付けてください。

両手を近付けようとすると、
ロッドハンドの方も
ラインハンドに近づけようと
前に動かしたくなってしまいますが、
そのようにすると、
フォワードキャストの
ストロークが短くなって
しまいますので、

ロッドハンドは
ストップした位置から
前に動かさないように
気を付けてください。

フォワードキャスト

バックキャストしたラインが
後ろに伸び切ったイミングで
フォワードキャストを
スタートします。

この時までに
ラインハンドは
ロッドハンドの近くまで
戻しておきます。

フォワードキャストの
スターと同時に
ラインハンドも
再び下に引きます。

バックキャストの時は
少し前よりに
引きましたが、

フォワードキャストの時は
少し後ろ気味に引きます。

バックキャストの時と同じように、
フォワードキャストで
ロッドストップと同時に
引いたラインハンドを
再びロッドハンドの
近くに戻します。

これで1回のキャストが
終了します。

フォルスキャストをする場合は
これを繰り返します。

ここで紹介している
ダブルホールは
初心者の方でも比較的マスターしやすく、
ホールの効果を体験していただける
方法です。

より効果的な方法は
また別の機会にご紹介しますが、
そちらの方は少し難しい
ものとなりますので、
先ずはこの方法を
マスターしてからそちらの方を
ご覧ください。

そして、この方法は
ホールをしない状態では
問題ないのに、
ホールをすると
テーリングを起こしてしまう方
にもおすすめします。

お勧めの練習方法

今回ご紹介している
ダブルホールは
初心者の方でも
比較的身に着けやすい
方法ではありますが、

それでも、
まだダブルホールをしたことがない
初心者の方にとっては、
この動きは複雑で難しく
感じるかもしれません。

この複雑な動きを
からだに覚えさせるための
お勧めの練習方法を
ご紹介します。

パントマイミング

実際にキャストしながら、
この複雑な動きを
最初からうまくこなすのは
至難の業と言って良いでしょう。

まずはロッドやラインを持たず、
その動作だけをやってみる、
パントマイミングというのが
たいへん効果的な練習だといえます。

手には何も持たないか、
ロッドのバット部分や、
何か棒のようなものを
ロッドの代わりに持ってもよいでしょう。
いずれにしても、
部屋の中でも
壁や天井、花瓶などに
ぶつけてしまわない程度
のものにしておくのが無難です。

先ずはロッドハンドと
ラインハンドを
お互いに近づけて、
身体の前に構えます。

ロッドハンドを後ろに、
バックキャストの要領で
動かしながら、
同時にラインハンドを
斜め下、少し前の方に
動かします。

ロッドをストップさせるのと同時に
ラインハンドもストップ。
それと同時にラインハンドは
直ぐにロッドハンドへと近づけます。

この時、ロッドハンドは動かさないように。
特に前ににじり出て行かないように
気を付けてください。

この、ラインハンドを戻すのは、
ボールが何かにぶつかって
弾むように、
ラインの引き終わりと同時に
戻していきます。

よくやってしまう間違いは、
ラインを引いた手を
しばらく戻さずに、
その位置にとどめてしまうことです。

ラインハンドが
ロッドハンドの近くまで
移動させたら
バックキャストの終了です。

ロッドハンドとストップと
ラインハンドの引き終わり
と同時にバックキャストの
ループが出来始め、
ラインハンドを
ロッドハンドに近づけている
間にループが伸びていき、
ラインハンドの
戻し終わりで
ループが伸び切ると
想像してください。

ラインハンドの戻し終わりと
同時にフォワードキャストの開始です。

ロッドハンドを前に動かしながら、
同時にラインハンドを斜め下、
今度はやや後ろ方向へ向かって
引いていきます。

やはり
ロッドのストップと同時に
ラインハンドは引き終わり、
同時に、ボールが弾むように
ロッドハンドへと近づけていきます。

このパントマイミングを
ダブルホールの練習方法として
提唱したメル・クリーガーは
ホールした手をただちに戻す
動作をわかりやすく、
キャッチーな言葉を創作し、
表現していました。

それが
「ダウナップ」という言葉です。
決して「ダウン・アップ」と、
ダウンとアップに区切りをつけず
行うという意味で、
この言葉を好んで使用していました。

このパントマイミングは、
必ずしも実際のスピードで
やる必要がないということも
大きな利点です。

身体が動きを覚えるまで、
身体の各場所の位置や
状態を確認しながら、
あるいは頭で考えながら、
ごくゆっくりと行えるのです。

身体が基本的な
動きを覚えたら、
実際のスピードと
タイミングに近づけて
練習すればよいのです。

前後の動きを分けて練習する

パントマイミングで
基本的な動きを
身体が覚えたら、
今度は実際に
ロッドとラインをセットして、
キャストする練習に移行します。

パントマイミングで
一応の動きを
覚えたといっても、
実際にキャストすると
戸惑うことも多いと思います。

なので、
バックキャストと
フォワードキャストを
分けて練習するのも
良い方法です。

通常のオーバーヘッドキャストのように、
ロッドを立ててやってもいいのですが、
そうすると、バックキャストの後、
ラインを地面においてしまうと、
ラインにたるみができてしまい、
次のフォワードキャストがしづらいので、
水平方向に振ってみてください。

ロッドを地面と平行に構え、
ラインハンドをロッドハンドの近く、
前に差し出すようにして構えます。

その状態から、
ロッドを水平に保ちながら、
後ろへ振るのと同時に
ラインハンドを
左へ引きます。

引いたラインハンドは、
ロッドをストップするのと同時に
ただちにロッドハンドに
近づけます。

これで、バックキャストの完了です。

うまくいけば、
ラインは地面と平行に
ループを作り、
後ろへ飛んでいくはずです。

ここで一旦、
全ての動きを止め、
飛んでいったラインが
地面に落ちるのを待ちます。

そして、
次のフォワードキャストで
すべきことをを思い出し、
頭の中で整理してください。

そこで、
改めてフォワードキャストを
開始します。

ロッドを前に振るのと同時に
ラインハンドをまた引き、
ロッドをストップするのと同時に
ラインハンドをロッドハンドに
近づけます。

これで、フォワードキャストも
完了しました。

このように、
各動きを分解し、
練習するのも、
複雑で覚えづらい
動きを自分の物に
することに、たいへん役立ちます。

前後の動きを分けて
キャストするのになれて来たら、
今度はその各動きをつなげて、
連続した動きとして
練習します。

ロッドを横に振る、
サイドキャストになれて来たら、
今度はロッドを縦方向に振って、
通常のオーバーヘッドキャスト
へと移行してみてください。

シューティングラインを用いた練習

ダブルホールの
厄介なところは、
引いたラインを戻す必要がある
ということでしょう。

慣れないうちは
ループがうまく形成できず、
その勢いが乏しいため、
戻すべきラインを
戻せないこともあると思います。
無理に戻そうとすると、
ラインハンドとストリッピングガイドの
間のラインがたるんでしまい、
次のキャストがうまくできません。

そんな時は、
シューティングラインを使って、
練習するのも
良い方法です。

シューティングラインは、
短い、通常は9メートルほどの
ライン、ヘッド部分になりますが…
それにモノフィラや、
細いテーパーのついていない、
フライラインなどの
ランニングラインを接続した
ものです。

このラインは、
ヘッド部分は、ロッドティップからだし、
細く、抵抗の少ないランニングラインが
ロッドガイドを通った状態で使います。

ですから、
まだキャストしたループの
勢いが足らず、
ホールしたラインを戻すのが
難しい初心者の方でも
そのラインを
戻すことができます。

練習のために
ラインを新調することには
抵抗を感じるかもしれませんが、
このラインは
狭いスペースでも
遠投することができ、
実際の釣りにも
よく使われるラインです。
持っていて損はないラインです。

それでもホールは脇役

今回は初心者の方でも
比較的覚えやすいダブルホールの
方法と、練習方法の
ご紹介をしました。

ダブルホールは
正しく使えば
ラインスピードを上げたり、
正確なループコントロールも
容易にしてくれます。

そのため、
遠投性にも優れ、
風の強い日や
狭い障害物の
間を縫うようにキャスト
することも可能で、

たいへん役に立つ
…というよりも、
なくてはならないテクニックだと
言っても良いでしょう。

ただ、その効果も
正しくロッドハンドを
使えた上で成り立つものです。

どんなにホールの
練習をしても、
ロッドハンドで
正しくキャストできなければ、
その効果半減どころか、
全く意味をなさない
場合すらあります。

ですから、
先ずはロッドハンドでの
キャストをしっかりと
身に着けてください。

そして、
フライキャスティングが
上達した後でも、
練習では
先ずはロッドハンドだけの
キャストをして、
それからダブルホールを
用いた練習へと
移行するように心がけてください。


この解説はYoutubeの動画でもしていますので、
是非こちらもご覧ください!

離れていても受けられるキャスティングレッスン、
リモートキャスティングレッスンもやっています。
ご興味ある方はこちらもご覧ください。


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