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呪われた東京五輪 -

度重なる不祥事や疑惑に渦巻いた、2020年東京オリンピック競技大会。呪われている。そう思わずにはいられないほど、20数個のセンセーショナルな問題が絶え間なく起こり、スポーツの祭典に水を差した。いったいどれだけのだらしない人たちによって回されていたのか。そのことの顛末を項目ごと時系列でまとめた。




大会運営・競技場問題

2015年7月
バグダード出身の建築家ザハ・ハディド氏がデザインした新国立競技場(オリンピックスタジアム)の案が当初の1,625億円から2,520億円に膨らんだ巨額の建設費が話題に。
設計を見直して巨大キールアーチを簡略する案も検討されたが、結局ハディド氏の案そのものが白紙撤回に。
これによって柿落としとなる予定だった2019年のラグビーワールドカップ日本大会開催に間に合わないことが確定。

2016年3月
新たに採用された隈研吾氏設計の新国立競技場は、木材をふんだんに使うため消防法上の問題により聖火台を競技場内に置くことが不可能に。
そもそも設計段階で聖火台が案に含まれていなかった指摘も。
同月には最初のデザインを担当したハディド氏が心臓発作で死去。

2018年8月
舛添要一前東京都知事の時に考案されたオリンピック大会ボランティアの衣装がダサすぎると、苦情やネット上での書き込みが相次ぎ、小池百合子東京都知事が変更させる事態に。

大衆に紛れず、遠くからでも認識され易い本来の目的は理解されず。

2019年10月
水泳を開催予定のアクアティクスセンターの免震偽装(KYB株式会社の検査データ改ざん)が発覚。

2019年11月
隈研吾氏設計の新国立競技場は、日本全国の木を用いた「杜のスタジアム」と銘打つも、便器・便座呼ばわりされ、これで1,569億円かと話題に。

過去のメイン会場では、リオ600億円、ロンドン930億円、北京510億円、ギリシャ210億円、シドニー550億円であり、東京大会がぶっちぎりで高額に。そもそも当初の予算1,625億円が高価格な上、それに寄せた感があった。

2019年11月
開催期間中の東京の酷暑を理由に、IOCによって半ば強制的にマラソンの開催が札幌に決定。

開催国が開催時期を決められない上に、日本の夏が強烈な湿気と暑さなのは今に始まったことではない。

2020年3月
「復興の火」と銘打った聖火が宮城県の松島基地に到着したものの、稀に見る暴風に見舞われ火種が2度も消える。
「予備の火種」によって救われる。

2020年12月
当初7,340億円の予定であった大会経費が、1兆6,440億円と2.4倍にも膨れ上がると報じられる。

2021年4月
開催まで100日を切っても、未だ東京五輪開幕に日本国民の7割が反対を示す。

2021年6月
大会ボランティア10万人の公募に対し24万人の応募があったと報道があったものの、大会組織委員会事務総長の発表では8万人程度で、新型コロナ感染の心配からか、その後辞退する希望者が1万人に達した。


大会エンブレム騒動

2015年7月
デザイナーの佐野研二郎氏が手掛けた東京大会ロゴが正式決定するも、大会ロゴの展開例の画像が、著作者の許可を得ずに使用していたことが発覚。

2015年9月
エンブレム盗作疑惑で佐野氏が辞退し白紙撤回、使用中止が決定した。佐野氏についてはエンブレム以外でも、過去に携わった複数件のデザインの類似が指摘される。

ベルギーのリエージュ劇場が使用差し止めを求め提訴、また原案がヤン・チヒョルト展のポスターと類似しているとの指摘もあった。
裁判は開かれていないし、盗作と認定されたわけでもなかったのが、疑惑の多さが常軌を逸して収拾がつかない事態に。

2016年4月
エンブレムの再募集と再選考がなされ、デザイナー野老(ところ)朝雄氏の作品に決定。

SNSなど一部で「採用ありき」と囁かれる。


贈収賄疑惑・汚職事件

2018年12月
東京五輪招致をめぐる贈収賄容疑でフランス検察捜査当局が捜査開始、ロビー活動を続けていたJOC会長の竹田恆和氏が容疑者となる。

その後日本側が捜査に非協力的であるとして当局は聴取を断念。

2019年3月
JOC会長の竹田氏が6月の任期満了に伴い、開催を待たずして18年も務めた会長職を突如退任すると発表。

かつてJOCの会長は無報酬の名誉職であったが、竹田氏はそれを覆し、18年もの長期に亘って君臨。直前に辞める意図も説明は無し。

2021年6月
JOCの経理部長が都営浅草線中延駅で電車に飛び込み自殺。

2022年9月
東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約を巡る贈収賄事件で、KADOKAWAの元専務ら2人がスポンサー選定の便宜を受けた謝礼として組織委員会の元理事に賄賂を提供したとして逮捕される。

2022年10月
大会組織委員会元理事で元電通顧問の高橋治之氏が4回目の逮捕。収賄だけでなく、大会エンブレム選定不正、誘致での裏金関与疑惑、テスト大会入札談合、収賄・中抜きなどの疑惑で電通・ADK・大広とKADOKAWA・AOKI・パーク24社を捜索。

パーク24の社外取締役には元JOC会長の竹田氏が居り、またしても疑惑が浮上。また日当35万円という高額の請求に対し実際の支払額は12,700円という多額の中抜きが発覚。東急エージェンシー・ADK・博報堂・フジクリエイティブコーポレーション・パソナが名を連ねた。


担当大臣と会長の辞任

2019年4月
桜田義孝五輪担当大臣の「復興以上に大事」発言が東日本大震災の被災地を軽視する発言として報じられ、また以前から女性軽視発言、度重なる曖昧な答弁など取り上げられて辞任。

2021年2月
元内閣総理大臣経験者であり、東京オリンピックパラリンピック組織委員会会長の森喜朗が女性蔑視発言で辞任。辞任後も同様の発言繰り返す。


史上初の大会延期

2020年3月
新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の世界的なパンデミックを理由に、史上初めてオリンピック・パラリンピックの開催を2021年夏に延期することを決定。
2020年大会という表現はそのままに。

2021年7月
新型コロナウイルス感染症の蔓延が抑えられないため、前代未聞の無観客試合が決定。


大会関係者の不祥事

2020年12月
ロシアの組織的なドーピング問題によって、2022年12月まで資格停止処分が下る。これにより東京五輪も出場除外されることに。

厳しい審査を通過した選手は、ROCとして個人での出場が認められるも、国旗の掲揚や国歌斉唱は禁止。

2021年3月
開閉会式の演出統括責任者だったクリエイティブディレクターの佐々木宏氏が、グループライン上での女性タレントの容姿を侮辱する発言が流出して辞任することに。

著名人のトーク履歴が度々漏洩するも、LINE自体は問題として挙がらない。

2021年7月
開催直前、選手村に入った韓国人選手団が、国旗とともに李舜臣をもじったメッセージを掲げたことにより、現地に右翼団体が押しかけて騒ぎになる。
最終的にはIOCの要請で横断幕は撤去された。

2021年7月 開会4日前
開会式の音楽を担当する予定だったミュージシャン・小山田圭吾氏が、障碍者に対して行った壮絶ないじめを打ち明けた過去のインタビュー記事が取り上げられ辞退するまでに発展。

2021年7月 開会前日
五輪開閉会式のショーディレクター・小林賢太郎氏は、ホロコーストを揶揄する過去のコントが掘り起こされ大会開催の前日に解任。

問題のコントは1998年のもの。選手入場と聖火点灯以外全て取りやめになるかもと話題に。


おわりに

今や開催延期や規模縮小が現実味を帯びてきた2025年大阪・関西万博、何度やっても飛ばない国産ロケット、自動車メーカー各社のデータ改ざん、健康を損ね死人が出る機能性食品、起工式から10年経っても着工できないリニア中央新幹線など、日本のものづくりに影を落とす官民のコンプライアンスとガバナンスのグダグダぶりは、いったいいつまで続くのだろうか。

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