自己啓発 vs 社会科学

自己啓発本では社会的・環境的制約について具体的に書かれていることは少ないと思う。
あくまで自分のパワーアップに焦点があてられており、選択肢が増える未来を思い描くことができる。
だから読後感もよい。

対して、社会科学や社会的話題を扱った本というのは、金銭面でもキャリア面でも生活面でも様々な制約があることを人々に直視させる。
この分野自体にそういう意図はなくとも、読者としては選択肢のない暗い未来を見せつけられる気持ちになることもあるだろう。
また、直接自分に関係がなくとも、暗い話が多いことも避けられる理由の一つだろう。

ただ、社会的知識はあるに越したことはない。毛嫌いしていては自己防衛にも差し障る。
そこで、こう考えたらどうだろう。

自己啓発本は自己の生き方に直接介入しようとしてくる点で不自由なのではないか。
逆に、社会的知識は環境による制約を示しはするが、個々人の生き方への介入にはあまり興味を示さず、つまりは勝手に生きろということで、こちらのほうが自由な生き方に対して開かれているのではないか。
そして、暗い話が多いというのも、逆に、人間の尊厳をまばゆく照らすものなのではないか。

それから、もう一つ社会科学のほうが勝っていると思うことがある。
人間は人それぞれである以上、自己啓発本の知識は人によって効果がまばらになりがちだ。
それに対し、社会的知識は全員に当てはまる。

乱暴な説明かもしれないが、これが私なりの社会科学のススメだ。
そう思いながら、私も社会科学本を読むのを日々楽しんでいる。

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