記事から 国境、ドクさん、マルラオイル 2024年4月15日

国境なき医師団が直面しているのは、国境だった。
国家安全条例によって外国勢力の干渉を禁じる香港と難民忌避のイタリア。異なる政体でありながら、「国境なき」を掲げる団体への対応が等しく排斥であること。そのことが、国境というものの性質の一端を示しているように思われる。

「ベトナム戦争で使用された枯葉剤の影響で1981年に結合双生児として生まれ、88年に分離手術に成功した」が、その後も後遺症に苦しめられ、入退院を繰り返し、「闘病中の義母を自宅介護」しながら「一家の唯一の稼ぎ手として暮らしており」という壮絶な人生。
しかし、子どもに恵まれた「幸せな家庭生活」という側面もあるに違いない。
本作について、「私のことはこれまで日本で数多く報道、紹介されていましたが、ちょっと疑問に思うこともありました。ですので、この映画で正しい私、今の真実の姿を見てほしい」と彼は述べている。見たいものを対象に投影したいという人間の欲望を排し、ありのまま映そうと努力した意欲作であるようだ。

マルラオイルという化粧品原料を調達するにあたってのサプライチェーンの組み立て方、天然原料であることからくるリスクとその対策、消費者の傾向などについて。
よく整理されたインタビューだ。

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