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協力隊が地域で闇落ちしないための「おすすめの動詞」

影響の輪を広げるには?

今回の話は前回の続きです。ものごとには自分が直接影響を与えることができる「影響の輪」の範囲のことと、影響を与えることができず関心を持つことしかできない「関心の輪」の範囲のことに分かれます。

自分の自己効力感を上げるには、関心の輪に気を(時間を)取られずに、影響の輪の範囲のことに集中することが大事。そんなことを書きました。

私はこの話を書籍「7つの習慣」で大学生の時に読みました。かれこれ30年近く前になります。「なんで他人のことばかり話をする人が多いんだろう。意味ないのに」と感じていた私にとって、この2つの輪の話はすごく腑に落ちました。

そしてひとつの問いが生まれました。

「どうすれば自分が影響を与えられる範囲(=影響の輪)を広げられるのだろう?」

皮と身の間に栄養がある

自分でできること(影響の輪)と自分ではできないこと(関心の輪)があるとして、「誰かに話す」ことはどちらになるのでしょうか?

私の定義としては、「話をすること」は影響の輪の範囲ですが、その会話の結果、「相手が意図したとおりに動くかどうか?」は関心の輪の範囲です。

相手は自分の言った通り、思った通りには動かない。でも、なんとか自分の想いや意図を伝えて、働きかけることはできます。

上司が〇〇をしてくれないとして、その愚痴をこぼすだけなら関心の輪に時間を取られています。でも、その上司に〇〇をしてもらえるように話をしにいくのであれば影響の輪です。上司に直接話せるルートが無い場合、無いから無理と言っているときは関心の輪の中で、上司につながっている先輩や間の役職の人に話をしてみるのは影響の輪の中の行動です。

果物や野菜には皮と身の間に栄養がある。関心の輪と影響の輪もその間に「可能性」が詰まっています。

地域おこし協力隊として地域の中で自分ができること(影響の輪の範囲)を広げたいなら、この影響の輪と関心の輪の境目を押し広げていくことが大切です。

円の縁(ふち)を太くしていこう

この話は、地域だけではなく、サラリーマンが会社の中で仕事をやりやすくするのも同じです。なのですが、「話をして相手に動いてもらう」ことは要は「相手との関係性」の話であり、地域で何かをするときに関係性のあり、なしが与える影響は都会の関係性以上に大きいです。

だからこそ、地域では2つの輪の境目を意識することが大事です。地域では都会以上にコミュニケーション能力が求められます。しかもSNS等ではなく、リアルの対人コミュニケーション能力です。その能力の必要さを理解してから地域に入ると良いと思います。

ということで、私は影響の輪と関係の輪の境界線は「関係の縁(ふち)」だと思っています。この縁を太くしていく。それは関係性を太くしていくことを表していると思います。

縁を太くする動詞の選び方

何かを動かそうと思っても自分にその権限がない状態(動かしたいことが関係の輪の範囲の状態)において、適切な人に「話すこと」は影響の輪の範囲に入ります。

でも、縁を太くしていくためには、ただ「話せばいい」わけではりません。

言葉が持つ力は本当にすごいなと思います。厳密には言葉が脳に与える力がすごいなと思います。使う言葉を変えれば意識が変わります。

あなたはその何かを動かしてくれるかもしれない相手に、「話す」のか「頼む」のか「お願いする」のか、「説明する」のか。どの動詞を使うのかを意識的に選ぶ必要があります。

話す、という単語は「意図」がよく見えません。「頼む」や「お願いする」であれば、その後に何らか「動いてもらいたい」という意図を感じます。「説明する」であれば、相手に「理解してもらう」ことを意図してそうです。しっかり伝わるように「しっかり準備する。必要なら資料も作ってそう」です。

私はコミュニケーションとは「目的をもって話をすること」だと思います。

「話す」こと自体には意味がなく、目的を持つことで意味が出てくる。その意味をしっかり表す動詞(頼む、説明する、など)を意識的に言葉にすることです。

そして、私がおすすめの動詞でよく使うのが「提案する」です。

相手に提案するためには、なんらかを行うための、目的に加えて、現状の説明、期待される結果をしっかり話すことになります。話す前にはしっかり考えることになります。提案する以上、引き起こす結果が相手にとってもメリットになると言えるように考えます。

提案する、という動詞は影響の輪の範囲の行動で、関係の縁を太くする非常にパワフルな動詞です。

そして地域の中で影響の輪が広がっていく

影響の輪と関心の輪の境目になる関係の縁の話をしました。提案を続けて縁を広げていくと、いつのまにか提案していたことが「自分の役割」になるときがきます。あなたにはその新たな役割に付随した権限が増えています。

それがあなたの影響の輪が広がった瞬間です。

影響の輪をいかに広げるか?そのために境目に注目し「関係の縁」を太くするために「提案する」話をしました。

でも、ひとつ問題があります。それは「提案が通らない」ときがあることです。

これは仕方ないです。最初に述べたように自分が何かを意図してコミュニケーションをとったとしても相手がその通りに動いてくれるかどうかは「関心の輪の範囲」です。ここで止まるのは時間の無駄です。

一度の提案でダメならまた次、そしてまた次と提案をしていく。次の提案をするにはなんらか積み上げが必要です。そうしなければ「また同じじゃないか」となるだけです。

ですから、自分の目的を果たしたいなら、そのためにその人への次の提案が必要ならなんらか考えて動いているはずです(もちろんこの行動も影響の輪の範囲)。

その行動の結果得られた、知見や経験はきっと提案の質を高めます。さらにはそのあきらめずに行動するあなた姿を地域の人は見ています

人は一人では生きていけません。そのことが地域ではより色濃く表れます。

コミュニケーションを閉じずになんとか提案しつづけようとする姿は「相手と関係を作りたい気持ち」「自分の夢や願いといった目的を達成したい熱意」を語らずとも伝えます。

地域おこし協力隊として地域に入ってすぐの頃、アウェイ感を感じることがあると思います。それはあなたを無視しているわけではなく、あなたがどんな人かを見ているのです。関心はありありです。

「いつも誰かが見てくれている」と思うか「誰かにいつも見られている」と思うか。前者で捉えられるようになれば地域で闇落ちすることはありません。そのためにもしっかり提案して関係の縁を広げ、影響の輪の中にたくさんの人との関係性を取り込んでみてください。

思い返せば「地域に入ってすぐのときは提案した」んじゃないでしょうか?それを続けることです。結果がすぐに出るわけないと最初からわかっておくことです。提案し続けることで、きっとあなたのことをよりわかってもらえると思います。

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