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オーブン料理

美季ちゃん、ご無沙汰しております。
日々の忙しさについつい流されてしまい、なかなかお手紙をかけずにいました。その後いかがお過ごしですか?

寒い日が続くようになり、最近我が家の食卓には温かいお料理が頻繁に登場するようになってきました。(料理は)春夏秋冬楽しいものですが、秋から冬にかけての料理はなんとなく、音や見た目もいいのかなと思います。

さて。この企画を始めるにあたって、好きな食材や調理器具、レシピなど、様々な料理に関することを色々考再考していますが、今回は"料理の手間"についてを書きたいと思います。

私が料理を好きになったというか、様々な材料を使い始め作り始めたのは、多分大学院生を終えて研究生をやっていた頃からだと思います。インターネットが段々と生活の中に入り込み始めてきたころです。これはすごく大きくて、まず本を買わずに人様の料理を見ることができるようになった。次にうろ覚えだったり曖昧な料理や食材の知識を補うことができた。そして何より世界中の食材が気軽に買えるようになったということです。

日々のアルバイトの給料が本やらなんやらで消えてしまいながらも少しずつ貯めて世界の高級食材を買う私。笑ってしまいますよね。一体全体なぜあんなに熱心だったのかは未だに不明なのですが、とにかくそんなことをやっていた時期、ふと夜中にフランスの片田舎の人々の生活(よくいうスローライフ)を特集していたTV番組を見たのです。

ある夏の週末、広い庭のテーブルでみんなで昼ご飯を食べるシーンで見た料理。それは大きな耐熱ガラスで作られたオーブン料理でした。じゃがいも、玉ねぎ、白身のお魚が入ったそれはそれは美味しそうで、急いでレシピのようなものをノートに書きなぐった記憶があります。

私の実家には実は素敵なガス台があります。フランスのロジェール社のもので、4台のコンロと前開きの大きなガスオーブンが付随しているものです。私が小学生に上がるときですから昭和50年代前半に設置し、現在は2代目となっていますが、この時代に国内の普通の家庭でこれを持っていた方はたぶんほとんどいらっしゃらないかと思います。オーブンには鶏の丸焼きを作れる、ぐるぐると回るグリル棒を設置できるものがあり、これでよく母が大きな豚肉のブロックを焼いてくれたのを思い出します。バザーで出すパウンドケーキなども2段使って一回に8個焼いたり、かなり使い倒していました。

しかしながらその頃安アパートに暮らしていた私にはそんな立派なオーブンがあるわけもありません。けれども諦めきれないので、足繫くリサイクルショップに通い続け、とうとう念願のオーブンレンジを貯めたお金で買うことに成功したのです。

ここから私は沢山のオーブン料理を作りました。だって簡単なんだもん。簡単なのに豪華に見えるんだもん。基本はメイン(肉or魚)+数種の食材に塩コショウ擦りこんで、にんにくやショウガ、ハーブまぶして、全体にオイルかけてマリネして、ある程度時間が経ったら180度くらいに熱したオーブンにいれるだけ。あとはじっくり焼くだけ。シンプルな分だけ食材のうまみがダイレクトにでる。調味料だって醤油や味噌を使えば和風になるし、ごま油とか使えば中華風にできるし。

ほっとけば出来上がるなんて、なんと素晴らしい調理法。手間と言えば焼く前の下処理のみ。もちろんこれだって大事で、一日前にやることがベターなものもありますが、めんどくさかったらこの工程はしなくたっていいのだもの。ある意味手抜きかもしれないけれど、手間が少ないというのは時にとっても重要なのです。

オーブン料理は香る。待ってる間の香りがたまらない。香ばしく焼けた匂いを嗅ぎながら、家族とおしゃべりして待っていたり、パソコンに向かったり、趣味に時間を割いたり。出来上がってから少し経っても、温かさが残るので慌てなくても大丈夫。「自分や誰かとの時間を作る」は忙しい昨今では時々難しくなるけれど、料理で作れることもあるのです。抜いた手間を時間に変えて、大事なことや人に使う。これって素敵なことだと思うのです。

長くなってしまいました。みきちゃんはお料理の「手間」について何か考えることはありますか?なんだかとっても楽しいお話が聞けそうな気がするの。是非次のnoteで書いてくれると嬉しいです!

さおり



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