経済的に自立できない子供たち

Q.今年40歳になる息子のことです。以前は非常に忙しい仕事に就いており、身体を壊すことがたびたびありました。給料は良かったようですが身体のことが心配で、お給料が減る分は私が援助するからといって少し軽い仕事に転職させました。その後、私自身も身体を壊し、今までのように仕事ができなくなってしまったので、息子に援助を打ち切りたいと言いました。ところが「お母さん自身が、給料が減る分は補填するからと約束したのだから、今さらそんなことを言われても困る」と取り合ってくれません。どうしたらいいでしょう。

■親のスネをかじる人々
 自立、というとよくひきこもり等の問題が注目されますが、それ以外にも経済的に自立できず、親に(全部あるいは一部分)依存している人、依存している世帯もけっこう多いのです。相談者さんの状況も、そんな事例のひとつですね。
 いきなり援助を打ち切っては息子さんのところも困るでしょうから、事情をよく説明し、話し合いを重ねながら、時間をかけて少しずつ減らしていってはいかがでしょうか。配偶者は専業主婦とのことなので、少し働きに出てもらうといった案もあります。

 この息子さんに限らず、勝手に離婚し、実家に帰ってきて、その後就職活動もせず、金銭面はもちろんのこと、食事の支度や洗濯といった身の回りの世話まで年とった親に面倒をみてもらっている娘とすでに成人に達している孫。それほどの収入も得ていないのに、親からの援助で高級住宅街に住み、外車を乗り回し、子供を有名私立の幼稚園に通わせる若夫婦。などなど、もし親からの援助が途絶えたらどうなるのだろう…とこちらが不安になってしまうような例は枚挙にいとまがありません。

■経済的援助の問題点
 もちろん親子ですから、かわいい子供を助けてあげたい、少しでも楽な暮らしをさせたいと思うのは当然のことですし、それぞれの家庭の自由です。また、昨今の厳しい経済状況下では、一時期そういった経済的な援助がどうしても必要な時もあるでしょう。
 ただ、心配なのは、親が必要以上に援助することで、子供自身の自立の機会を奪ってしまうのではないか? ということと、その経済的な援助が永遠に続けられるわけではないということです。子供の代までは援助することができても、孫の代、その次と考えていくと、なかなか難しいのではないでしょうか。

 お金に対する態度は、やはり親の影響を受けることが多いといわれています。たいして働かなくても、打ち出の小槌のようにどこからかお金が湧いてくるような家庭に育てば、自分の収入以上にお金を使ってしまうライフスタイルが身についてしまうのは当然のことです。将来、子供や孫たちが、自分でしっかり稼げるようになれば問題はありませんが、電話一本で親からお金が振り込まれてくるような生活を送っていては、なかなか難しいかもしれません。親が亡くなったあとに収入が減っても、今までの生活レベルを下げることができずに、借金に頼るようになってしまう、といったことも考えられます。その結果、経済的に自立している人とそうでない人の差が広がり、社会の経済的格差がますます問題になるのでは?なんて思うのは考えすぎでしょうか。

■魚ではなく釣竿を
 やはり子供には「魚を与えるのではなく、釣竿を渡す」。つまりお金やモノ自体を渡すのではなく、お金の有効な使い方や稼ぎ方を教え、うまく自分自身でコントロールできるようにさせたほうがいいと思います。そしてそのほうが長い目で見れば本人の幸せにつながるのではないでしょうか。実際、何世代も続く資産家の場合、そういった金銭教育は幼い頃からきちんとなされているようです。
 せっかくの親の愛情が、裏目に出てしまわないように、子供や孫の将来まで考えた援助のかたちというものを考えたいものです。

幸せを呼び込むポイント
・最近、経済的に自立できていない人や世帯が目につくようになった
・経済的な援助が永遠に続けられる保証はない
・「魚ではなく釣竿を」=きちんとした金銭教育をしていきましょう

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