税金感覚を鍛えるために

 Q.3年ほど前から、途上国の子供たちのために活動しているNGOに年間数万円ずつ寄付をしています。そんなことを雑談の中で話していたら、「それって申告すれば税金が返ってくるんじゃない?」と言われました。そんなことってあるのでしょうか。

■還付申告できるもの、見逃していませんか?
 そろそろ確定申告の期日が迫ってきましたね。この相談者さんの場合、寄付金控除というものが使えそうです。寄付をしている相手先のNGOが公益法人で、その寄付金が財務大臣の指定したものである場合(NPO法人ならば国税庁長官の承認を受けた団体に対する寄付金)であれば一定の所得税の控除を受けることができます。申告時に寄付金控除申告用の証明書が必要ですので、そのNGOに一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。5年間はさかのぼって申告可能ですので、昨年以前の分もぜひトライしてみてください。
この寄付金控除の他にも、年末調整を受けずに年の途中で退職したときや住宅ローンがあるとき、多額の医療費を支出したとき、災害や盗難などで資産に損害を受けたとき、などに還付申告をすることができます。少しでも思い当たるものがあるなら、税務署に問い合わせてみましょう。

「きちんと税金を納めている、ということが大人の条件のひとつである」と、先日どこかで読みました。確かに納税は国民の義務ですね。しかし、「これは減額してあげましょう」と言われているものまで納める必要はまったくないのです。そして、「その分は返してください」と自分で申告しない限り、国の方から「この分は納め過ぎですので返してあげましょう」などとは決して言ってはくれません。

■確定申告は税金感覚のエクササイズ
「お金」のことを考えるにあたって、「税金」というのは決して無視できない大切な要素のひとつです。しかし、ちょっとした解釈の違いで大きなお金が動くであろう経営者や自営業者の場合でも専門家に丸投げしている人が多いようです。さらにサラリーマンの場合には、ほとんど勤務先で代わりに申告手続きをやってもらっているので、日常的にあまり意識している人はより少ないように思います。「税金は大切」と感じていても、差し迫った必要がないとついそのままにしてしまいがちですね。
 でも、このままずっと他人任せでいいのでしょうか?

 電子申告が普及するに従い、今までのような年末調整制度を廃止して、アメリカのようにすべて自分自身で申告納税するように制度が変わるのではないか?なんて話もあります。そうなった時にあわてないために、今から少しずつ税金感覚を鍛えておく必要がありそうです。

 そのためにおススメなのが、上記の「還付申告」。ちょっとした手間をかけることで、自分の収入がいくらで、必要経費がこのくらいで、税率が何パーセントで、結果税金をこれだけ払っているのだ、という実際の数字を把握できます。税金感覚を学びながら、うまくすればいくらかの税金が返ってくる、なんて一石二鳥だと思いませんか。

「還付申告したくても、その理由がないよ」というあなたは、昨年最後のお給料と一緒にもらった「源泉徴収票」を見ながら確定申告書を自分で作ってみましょう。(申告書の用紙や記入方法は国税庁のサイトから取り出せます。)それだけでも、今までよくわからずに遠い存在だった税金がぐっと身近になるはずです。

 そして、そんなふうに税金感覚を磨いていけば、納税者意識も今よりずっと高まるはずです。税金は高いと不満を言う人はおおぜいいますが、税金の使われ方にまで文句を言う人は、まだまだ少ないように思います。自分の納めた税金の使われ方に多くの人の意識が向かうようになれば、巡りめぐって、最終的には私たちの税負担も軽減されていくのではないでしょうか。

幸せを呼び込むポイント
・還付申告できる項目は意外とたくさんある
・自分で「返してください」と申告しないと何も起こらない
・確定申告(還付申告)で税金を身近に感じてみよう
・税金感覚を磨けば、長期的には税負担の軽減に通じる


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