決算書を読もう・貸借対照表の巻

■ブランド物を持ってはいても・・・
 前回は「どんなふうにお金を使って、どうやって儲けてきたか?」を表す損益計算書を説明しましたね。今回も引き続き、決算書のおおまかなイメージをとらえていきましょう。

 今回は「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」です。これって発音するだけでもたいへんで、私も慣れないうちは、まるで早口言葉のように感じていました。B/S(ビーエス=Balance Sheetの略)ともよばれますし、略さずそのままバランスシートとよぶ事もあります。

 例えば、いつもイタリア製の服をバリッと着こなし、ブランド物の小物をちらつかせながら、高級車に乗って夜な夜な飲み歩いている、なんていう人がいたとします。でも、どんなにいいモノや高いクルマを持っていても、その費用を借金でまかなっているのなら、うわべはお金持ちそうでも本物の資産家とはいえませんね。

 その点は会社も同様です。財産の大きさやその種類を知ることも大切ですが、そのお金がどこから出ているのかを見ないと、本当の財政状況はわかりません。そこで登場するのが、この貸借対照表です。この表はその会社が今どれくらいの財政状態にあるか?ということを示している表です。今回も単純化して「箱」としてイメージしてみましょう。

画像1

 2つの箱が左右に並んでいます。右側の箱はさらに上下に分かれて重なっています。そして左側と右側の合計はいつも等しくなっています。(資産=負債+資本)ですからバランスシートとよばれるんですね。この書類を、私たちの家計に例えて言えば、年末時点で財産(資産)はいくらあるのか、借金(負債)はいくらあるのか、そして財産から借金を差し引いた、つまり実質の財産(資本)はいくら残っているのか?ということを表しています。

 会社に引き戻すと、左側は決算日における会社の財産の中味(資産)です。建物を建てたり、銀行に預けたりと、お金をなにに使ったのかという「お金の使い道」が書かれているともいえます。そして右側は、いずれは返済しなければならない借金(負債)と返済義務のない自分のお金(資本)に分かれています。借金したり、もともとの元手だったりと、どこからお金を集めてきたのかという「お金の集め方」を示しているともいえます。

 つまり貸借対照表とはある一定時点において「どれだけのお金を、どう集めて、何に使っているか」を表したものであるともいうことができます。

 また、この表は会社の健康診断書とも言われています。例えば資産のうち、どのくらいを資本、つまり自己資金でまかなっているのか?などということも読み取ることができます。自己資金の割合が低く、多くを借金に頼っているということになると、不況時や借り入れがうまく行かなかった時には苦境に立たされてしまいますよね。

■損益計算書と貸借対照表の関係とは
 これまで、損益計算書と貸借対照表を別々に見てきました。しかし、当然のことながらこの2つの決算書はひとつの会社の財務状況を表しています。ですから、それぞれの決算書は互いに関係があり、数字がつながりあっているのです。

 また、財政状況を表す貸借対照表だけでは、どんな理由で利益が増え、資本が多くなったのかがよくわかりません。その理由を知るには、いくら使い、どうやって儲けたかを表す損益計算書が必要になるのです。いわば損益計算書は、貸借対照表に表示された利益の説明書という面ももっています。

 決算書が読めるようになると、新聞の経済面を読むときにも、その記事の奥にまで目が届くようになって確実に世界が広がります。これを機会に、ぜひ勉強してみてはいかがでしょうか。

幸せを呼び込むポイント
・会社の、ある時点での財政状況を表すのが貸借対照表。
・「どれだけのお金を、どう集めて何に使っているか」ということも表す。
・決算書が読める=会計を知るということは、確実に世界が広がるスキルです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?