決算書を読もう・損益計算書の巻

Q.うちの会社の経理担当者が急に辞めてしまいました。代わりに僕にその役割が回ってきたのですが、こちらは今まで数字なんかにさわったこともない素人です。 見よう見まねでなんとか伝票だけは書いていますが、決算期が近づいてきて、心配でたまりません。決算書のこと、素人でもわかるように説明してもらえませんか。

■決算書がわかる=できるビジネスマン!?
 そろそろ年度末。決算期が3月末という会社も多いので、みなさん忙しい時期ではないでしょうか。さて、その決算が終わると、引き続き決算書を作らなければなりません。その決算書は税務署に申告書と共に提出されたり、株式会社なら企業の利害関係者(株主とかお金を貸している銀行、取引先の企業など)に見られたりします。

 今回の相談者さんに限らず、いまや決算書を読むことはビジネスマンの必須知識とまで言われています。確かに、就職・転職時には将来有望な会社を見分けやすくなるでしょうし、取引先の財務状況を把握できれば、交渉も有利に進められるかもしれません。また、銀行との交渉もやりやすいですし、株式投資をするにしても大切な知識です。とはいえ、決算書ってわけのわからない言葉や数字が多くて、なかなかわかりづらいですよね。

 詳しいことは、やはり別にきちんと勉強していただくとして、この文章ではとりあえず、決算書(その中でも特に重要な損益計算書と貸借対照表)のおおまかなイメージがつかめるように説明していきます。

 いきなり大きな会社の数字を読もうとすれば、どうしても混乱してしまいます。金額も大きいですし、項目もたくさんありますからね。ですからシンプルに、思いっきり単純化して考えてみましょう。また、それぞれの決算書は「箱」として考え、形から覚えるとイメージしやすくなります。

■いくら儲けて、いくら使ったのか?
 まずは「損益計算書(そんえきけいさんしょ)」です。
P/L(ピーエル=Profit and Loss statementの略)とよばれることもあります。この「損益」というのは、「収益-費用」のことで、これがプラスなら「利益」、マイナスなら「損失」となります。大きな箱がふたつ重なっていて、その下に小さな箱がついているといった形をイメージしてください。

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 この書類は、私たちの家計に置き換えて言えば、この一年間にいくら稼いで(収益)いくら使ったか(費用)、そして残りはいくらあるのか、もしくはいくら足りなかったのか?(利益・損失)ということを表しています。上の箱がいくら稼いだか?という「収益」。下の箱がそれを稼ぐためにいくら使ったかという「費用」。そしてその下についている小さな箱は収益から費用を差し引いた「利益」(マイナスならば「損失」)です。

 基本はこれだけのことなのです。しかし、最終的な利益や損失の額だけ知っても、なぜそうなったのかという理由がわからなければ、実際の経営状態がどうなっているのか分かりませんよね。そこで損益計算書では収益や費用を、その発生した原因によって区分しています。

 例えば、前年と比べて利益が減ったとき、その原因が、売上の落ち込みか、経費の増加か、もしくは取引先の問題か、損益計算書で区分されていれば数字からそれがわかり、すぐに手を打つことも可能になります。また、最終的な利益が同じでも、その利益が本業でしっかり儲けたものなのか、本業のマイナスを補うために、会社の資産を売って捻出したものなのか、なんてこともわかったりします。つまり、損益計算書というのは、その期間にどんなふうにお金を使って、どうやって儲けてきたか?ということを表す、いわばその会社の成績表とか通信簿のようなものなのです。

 ということで、次回は、「貸借対照表」について説明しますね。

幸せを呼び込むポイント
・決算書を読むことはいまやビジネスマンの必修科目
・損益計算書とは「いくら儲けて、そのためにいくら使ったのか」を表す
  いわば、その会社の成績表

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