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僕が覚えているのは ひどく傷ついたってことさ 僕なら 解決してくれるだろうって たくさんの人が 僕に 暴力をふるってきたんだ 僕は 彼らのあまりの幼さに嫌気がさして 走ってきたわけだけど 時々 振り返りたくなったんだよね これで よかったのかなって 彼らは どうなってしまうんだろうってね
笑い転げる ダンゴムシ ころころころころ 水色の大地の上を 転がっていく 小さな凹凸に あちこち行き先を 変えられながら ころころころころ 転がって 小さなクレーターの中に 落ちて 底につく
僕の腕にとまった ワタリガラス 水色の地平線を 横切っていく バイソンの群れを 見つめている 水色の風が 僕の髪を揺らし 遠い記憶の 意味を知る
繋いだ手を 放した時 不安と同時に感じた 解放感 ようやく 世界と繋がれたって 感じたんだ
水色の森を駆けていく トナカイ 茂みを揺らす葉音に 立ち止まり 視線を向ける 飛び立ったばかりの天使が 立ち上がり トナカイの視線に 肩をすくめる
水色のインク 文字のかわりに 一頭のライオンを 描く 探しているものが みつかるように ちょっと勇気が 必要だから 宛先は いらなくて 水色のインクで書くってことが 条件で 二つに折って 引き出しにしまう 後は 待っているだけでいい 注意が 必要なのは それが 忘れた頃にやってくるってこと それも 予想もつかなかった方法で
地平線の向こうが 見えないかと 背伸びをする きみ きみは もうここにいるよと伝える 水色の風
水色のテーブルクロス 大きなダイニングテーブルに 広げられ 水色のロウソクが 置かれる 水色の風の到来を告げる ロウソクの火 テーブルに頭をのせる コウテイペンギン テーブルクロスと 遠い地平線が 繋がっているように見える光景を 眺める
水色の大地が割れ 鮮やかな新芽が 頭をもたげながら 顔を出し ぱっと双葉を広げて 水色の高い空を見上げる
スキップする羊 鼻うたは 水色の風にのり 世界を回って かえってくる
私の手に触れる 水色の風 まぶたを閉じるたびに 鮮明に立ち上がり 開かれていく世界の光景を 見せていく
僕と対面する アオアシカツオドリ どれほどの 時間がたったのか それとも どれほども たたなかったのか 二つの存在の間を 水色の風が吹き抜け アオアシカツオドリは 歩きだす