インプラントは最善の治療法なのか?  その1

インプラントについて考える時、時々想像してしまう怖い情景があります。私が死に、夫と息子が私の骨を拾っていて、その中からポロンと小さなネジが転がっている。「ああ、お母さん、インプラントしてたよねえ」と。。。何年後か何十年後かはわからないけれど、私の骨から何本のネジが出てくるのだろうと、不気味な気持ちになります。

私の父は当時の歯周病で私が物後心つく時には総入れ歯でした。母は72歳で亡くなりましたが、身体が弱く、年を取ってからというもの、入院したら歯の治療をしてもらえないからと、いつも私の目の前で歯に挟まったものをフロスや楊枝で取ろうとしたり、お手入れに余念がなく、当時の私は今思えば老いへの嫌悪感のような、汚らしいものを見るように見つめていたような気がします。

決して歯が丈夫なDNAを受け継いでいない私は、子供の頃真面目に歯磨きをするわけでもなく、小さな虫歯をつくっては歯医者にしょっちゅう通って銀の詰め物をしていました。大学生ぐらいになって、ようやく審美的観点からそれなりにきちんと歯を磨こうとしても、時はすでに遅し、昔の詰め物の中で虫歯が悪化して、右上の歯を20代でブリッジをすることになってしまいました。八重歯とその周りの歯は虫歯になりやすかったのです。ブリッジとは抜歯した歯の両隣の健康な歯を削り、橋渡しのように文字通りブリッジをかけ、セラミックの一体型の被せ物をはめることを言います。治療には30万円ほどかかりました。約20年前のことです。セラミックのほうが保険適用外で高かったのですが、宝石や美容整形より大切、と母がお金を出してくれたことには感謝しています。でも、あの時、もっと別の方法はなかったのかと今でも後悔しています。

それから、30代で左奥歯も抜歯し、同じくセラミックでブリッジをしました。そのブリッジの下がものすごく痛くなったのが今年の1月。46歳の冬です。近くの評判の良い歯医者Bから橋を支える奥歯がもう寿命なので、抜歯し、元々抜歯された場所と二本同時にインプラントをするように言われました。実は30代後半、息子を出産してしばらくした頃、右奥歯を抜歯し、インプラントを経験していたので、また、あの大変な思いをしなくてはいけないと思うと気分が暗くなりました。前回、決断が遅れて、どんどん上の歯が伸びてきてしまったため、とても高さの低い奥歯になり、食べ物がとてもはさまりやすく、決して満足な仕上がりでないことも今回のインプラントが気が進まない理由の一つです。とはいえ、やるなら早く決断しなくてはいけない、と思っていたところに、新型コロナウィルスの発生です。歯医者だけでなく、緊急な治療でないかぎりは病院に誰も行かない期間となりました。その後、以前からの子宮筋腫が大きくなり、6月には筋腫と子宮の摘出手術もしました。これについては、またゆっくり書きたいと思います。

コロナも子宮も落ち着いたところで、さて、左奥歯のインプラントと向き合わない理由もなくなりました。というより、子宮摘出手術の後、懸案の左奥歯とは反対側の右奥歯、インプラント周辺の歯茎が痛むのです。よく、食べ物がはさまると痛くなるので、いつもよりフロスを念入りにしますが、歯茎の腫れと痛みは治りません。まさか、歯周病?総入れ歯だった父のことが思い出され不安になりました。とはいっても、まだインプラントについてどうしたら良いか方向性を決めていない中、インプラントを進める歯医者Bにはいけません。

原因はインプラントかもしれないので、以前住んでいたところの近所の歯医者で、はじめてのインプラントをしてもらった歯医者Tに新しくインプラントについてのセカンドオピニオンを聞きがてら、見てもらうことにしました。1月に歯科医Bで撮影したレントゲン写真を持って。するとT先生から思わぬことを言われました。心配していた歯周病ではなく、左の歯が無く、右側を酷使しているうちに、奥のインプラントの手前の歯が傷んできて、歯茎の腫れの原因とのこと。これもインプラントしなくてはいけない可能性が高くなったとのこと!二本でも悩んでいたのに3本目まで!現在両足を骨折しているようなものなので、ゆっくり歩くように、固いものを避け、やわらかいものを食べるように言われ、痛み止めと化膿止めを処方されました。さらには、右上の20代のときのブリッジも傷んでいて、こちらもインプラントをしなくてはいけないかもと、プラス3本、合計6本インプラントの可能性が。もう泣きたい、というか泣きました。ブリッジよりインプラントがいいのは、ブリッジをすると健康な歯を削らなくてはいけず、被せた義歯の中が虫歯になっても手遅れになるまで気づかない、つまり、両サイドとも将来失う可能性が高い、とインターネット情報にあります。20年前、インプラントしておけば良かったのか。それでも、今回の左奥歯手前もブリッジをしたわけでないのに、傷んでいる。というか、被せ物をしているので、虫歯が発見されにくいわけだ。つまり、どんな歯も削らないようにし、被せ物もしないように治療することが大切で、一度被せ物をしてしまうと、老化とともに、その歯を失う可能性が高くなるということも、いろいろなネット情報に書いてある通りなのだ。とにかく、しばらく考える時間をいただくことになり、その間にネットではなく本やサードオピニオン、フォースオピニオンも聞きつつ、色々リサーチすることにしたので、続きはまた別の投稿で。

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