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邂逅の道 #7

できること

彼女が、家へ帰ってきて2週間。
俺たち3人は、特に大きな問題もなく暮らしていた。

彼女は、訪問看護による「緩和ケア」を受けながら、マイペースに過ごしていた。
体調も安定しており、俺は今まで通りに自宅で仕事を続けながら、彼女の看病をしていた。

優吾は、週の半分を俺の家で過ごし、半分は元々暮らしていたマンションで過ごしていた。


1週間前に会った彼女の主治医の話によると…
彼女のがんは、既に全身のあちこちに転移しており「相当な痛みがある」はずだと言った。

しかし、彼女はいつも笑顔だった。

そんな素振りを俺や優吾にはほとんど見せることがなかったのだ。


そうした、一見とても穏やかな毎日の中で…俺は考えていた。

「彼女のために何ができるだろうか。」と。

リビングに置いてある、親父の遺影に向かって…
「なあ、親父。どう思う?」
と、声を掛けた。

親父は…乳がんを患った母親と、どう向き合ったのだろうか。
親父が生きていたら、聞いてみることができるのに…。

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