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邂逅の道 #3

親子


「ここまでの話って…もしかしなくても、ただのノロケ話?」

せっかくの引っ越しだから「引っ越し蕎麦」が食べたい!
…という優吾のリクエストに応えて、近所の蕎麦屋から出前を取った。

その蕎麦を向かい合ってすすりながら、俺が話す昔話をひとしきり聞いた優吾は、何となくニヤニヤしながら俺を見ていた。

俺も、そんな優吾の視線が痛くなってきて
「い、いや。別にそんなわけじゃないけど…」
と、どもりつつ応えた。


「っていうか、母さんが最初の彼女だったんだ。意外。」
と、優吾が俺をじろじろ見ながら言うので、俺は益々照れくさくなって
「高校時代までは、割と太ってたし…モテなかったんだよ。」
と、返した。

そして、俺も負けじと
「優吾こそ、彼女とかいないの?」
と、切り返してみた。

優吾は、本当に…年齢以上に落ち着きのある性格で、
「母さんの看病とか、仕事とかで、正直彼女作るとか興味ないんですよね。」
と、応えると、美味しそうに天ぷらにかぶりついていた。


改めて「息子」を眺めてみる。
俯いた時の表情は、彼女にそっくりだが…
大笑いした時の顔が、どことなく親父に似ている。

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