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小説草稿。仮題:未来生物ピカメラ

完走目指して一歩づつ、やっていきます。

シーン1・未来怪竜


それが、

トリケラトプスの顔だと気づくまで、

一拍、時間がかかり過ぎた。

ミッシーがオレに飛びついて、ハンドルを奪い、「ブレーキッ!」と叫ぶ。

「すまん」と叫んだが、遅かった。

後輪を滑らせガードレールに側面がグシッっと沈み込む。

「アクセルッ!!」

ミッシーがオレから離れ、サブマシンガンのロックを解除している。

指紋認証の青い光がもどかしい程悠長なリズムで点滅を繰り返す。

ハンドルは動く。

タイヤを新品にして正解だった。

メイド・フォー・ジャパン・セルフ・ディフェンス・アーミー新旧車だ。

後輪やっちまったか。

ダッシュボードでメカニカルの左後輪に軽度破損サインが点滅している。

「グレン、ロケットランチャーあったよね。」

「ああ、でも外からじゃないと無理だ。ロックのナンバーは3939、覚えた?」

「ラジャーです!ちょっと冒険するからね!」

フルスロットルで坂をノボリ上がるモバイル。

左後輪辺りから白い煙が流れ出ている。

「ミッシー、アイツ何処だ。今何処にいる。」

「見えない。丘の裏を回って待ち伏せかもしれない。」

そう言うとグレンが腿の横の赤いレバーをグチッという音をさせて引っ張った。

ボンッ!という音と共にボンネットが吹き飛び、後方に飛び去って、ブーメランのように回転しながら、海に落ちていった。

「いたよ。真ん前。雲の上だ! 」

あの点がアイツか、グレンはサングラスをかけてアクセルを全開にした。

キュイーンといったモーター音が耳をつんざく。

ヤバイこれじゃ耳から血が出る・・・。

「ミッシー、アモのボックスに耳栓がある、つけろっ! 」

「了解っ!」




つづく。