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「美味しんぼ」再読備忘録2024「スパイスの秘密」‐第五巻「青竹の香り」第4話‐

銀座中央警察署の中松警部の元に部下の警官らが一人の男を連れてくる。三原橋付近で保護した男なのだが、コックコートを着ており、どっからどう見ても料理人である。

しかし男は記憶喪失であり、中松警部も驚いてしまう。

そりゃこう言わざるを得ない

警察も一応一通りは調べてみた。都内や近隣の各県にあたったが、そもそも該当する失踪人の届けが出てないのでお手上げとなり、何故か栗田さんと山岡が呼ばれることになる。

新聞社に協力してもらって、この男の記事を載せれば何らかの反応があるのではないか?と一縷の望みを賭けてみた。他にもコックコートを着てたし、謎の男が持っていたメモがあり、カレーの香りがしたということもあり、旧知の栗田さんと山岡が呼ばれたようだ。

ミステリー仕立て?

そして、記事を出したら、警察の目論見通りにこの男の妻が名乗り出てきた。しかし、メデタシメデタシ…とはならず、男は自分の素性を聞かされても、自分の妻を見てもなにも思い出せないという。

奥さんの告白…

旦那さんの瑞木さんは奥さんと修行先のレストランで知り合い、惹かれ合って結婚し、資金を貯め独立してカレー屋を営んでいた。瑞木さんは閉店後、もう少し独自のカレー粉の調合を研究したいと店に残り、奥さんは先に帰ることにした。

しかし、銭湯からの帰りに居酒屋から出てきた昔の男にバッタリと出会ってしまい、

銭湯とかこのアパートとか思いっきり昭和

この場面、奥さん、なんで家にあげるねん?そしてなんでビール出すねん?そらこのチンピラも調子乗るやろ?そしてこの場面みたら普通の旦那さんやったらブチギレるやろ?奥さん?アカン、アカンで。

そして理想のカレー粉の調合が出来たので妻の圭子さんに真っ先に知らせたい味を見てもらいたいと戻ってきたご主人の溝木さんとこのチンピラが揉めて…

もみ合いの挙げ句…こうなった…
これが事件の顛末

奥さんは可哀想な人なのは同意するけど、あのチンピラを家に上げたり、ビール出したり、ホンマそういうとこやぞ!。これあの事故なかったら、旦那さんはチンピラにしばかれて、また奥さんあのチンピラと大阪へ、ってなってたかもしれんやろ?。でもそれは奥さんが悪い!。それは昔読んでもわからんかったけど、今やったら奥さんに説教したいわ。

そして溝木さんの記憶を呼び覚ますためにこの夜に作ったであろうカレー粉を再現させて…

記憶が戻った!

記憶は戻ったが、なぜ記憶をなくすような事故にあったか、がどうしても思い出せない、そこは奥さんの昏い過去に繋がってる部分なのだが、そこが思い出せないと、つまりあの大阪弁を喋るチンピラの存在がなかったことになっている。

ところが…

しかしそれは仕組まれてた!
美味しんぼの作品中でも珠玉のラストシーン

美味しんぼでも珍しいミステリー仕立てで、しかも叙述トリック風でもあり、ラストシーンも美しい、珠玉の出来の回と思う。しかし中松警部の出てくる回ってどれもカッコいい、粋を感じさせるよな。ホンマ。

しかし、奥さんの昏い過去がバレなくてメデタシメデタシとなりって、昏い過去といえばこの曲、いやそれはどうでも良いけど!なんでいっつもしょーもない役どころに、大阪弁使うチンピラが出てくんねん!。ホンマ、手荒い見舞客がおって良かったわ!。

しかし、カレーのために丸ごと一巻使った第24巻「カレー勝負」で、この溝木さんが一切出てこなかったのは何故なのだ?この溝木さんのカレー粉ならインドに行くことなく海原雄山を唸らせていたんじゃないのか?とか、

ギイとは無塩発酵バターを煮詰めて糖質のみにしたもの、だそうです。

そして現代の俺たちは知っている。このギイを使うと本場のインドカレーっぽいって、80年代、90年代では、なるほど!知らんかった!凄い!ってなってたけど、実はギイってインド料理ではそんな使わないってこと。

インドの北の方では使うけど南の方はそれほどでもないらしいとか。

でも奥さんのあの態度が!ってなったん、ホンマ今読み返してみて良かった。昔やったら気ィつかんかったかもしれんってことで、こんな感じでやっていきますんで、2025年もどうぞよろしくお願いします。(つづく)






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